物流コストを削減する方法とは?物流コストの種類や上昇する理由
物流は企業経営に欠かせない重要な活動です。しかし、その裏側にある物流コストは、企業の収益を大きく左右する要因ともなっています。近年の人件費高騰や燃料価格の上昇などにより、物流コストは年々上昇傾向にあります。物流コストとは何か、具体的にどのような種類があるのか、そしてなぜコストが上がるのか。本コラムではこれらの点について解説するとともに、物流コストを効果的に削減するための方策も合わせてご紹介します。物流の効率化は企業の収益向上に直結する経営課題です。物流に関わるコストの現状と課題を正しく理解し、適切な対策を講じることが求められています。本コラムがコスト削減の一助となれば幸いです。
目次物流コストとは
物流コストは、物流業務において発生する諸費用やコストを指します。具体的には、輸送費用、保管費用、人件費、運送手段の維持費用が含まれます。企業が商品や物品を顧客に届けるための運搬や保管などのプロセスに伴う費用を総称したものであり、効率的な物流管理が重要です。
近年、人手不足や燃料価格の上昇などの要因により、物流コストが増加しており、企業は効率化や省力化を図る取り組みを求められています。物流コストを低減することで、企業は競争力を向上させ、顧客サービスの改善や利益の最大化を目指すことが可能となります。物流コストの正確な把握と有効な管理は、企業の経営戦略において不可欠な要素となるため、常に留意が必要です。
物流コストの種類
製品を消費者の手元に届けるためには、生産地から消費地までさまざまな工程を経る必要があります。このように製品を移動させるプロセス全体を物流と呼びますが、物流を実現するためには多くのコストが発生します。今回は、物流におけるさまざまなコストの種類と内容について説明します。
―輸送・運送費
「輸送・運送費」とは、商品を運ぶ時にかかる運賃や関連費用を指し、多くの企業において物流コスト全体の50〜60%を占め、最も費用のかかる要素となっています。輸送費の上昇により、企業は物流コストの削減を迫られており、「単価」ではなく「仕組み」を見直すことが必要です。そのため、在庫最適化やルート最適化、輸送方式見直し、効率的な倉庫管理、物流プロセス改善などが効果的な削減策として挙げられます。
―保管費
「保管費」とは、自社内保管費と外部保管費に分かれ、自社の物流センターや倉庫に関連するコストや外部の倉庫での保管にかかるコストを含んでいます。保管費は物流コスト全体の15%を占め、作業費や輸送料と共に全体像を形成しています。保管費は物流コストの中で重要な構成要素であり、効率的な保管方法の選択や在庫管理の最適化が必要です。
―荷役費
「荷役費」とは、物流工程において不可欠な要素であり、荷物の積み下ろしなどの荷役作業に関わる費用を指します。輸送費や保管費、管理費、人件費とともに、物流コストを構成する重要な要素です。荷役は物流業務において欠かせず、効率的かつ適切に行われることで、全体のスムーズな運営に貢献します。荷役作業の効率化とコスト削減が求められる中、適切な管理と削減策の導入は、企業の物流戦略において重要な課題となっています。
―包装費
「包装費」とは、商品を運送や保管する際に不可欠な費用であり、商品の安全性や品質維持にも大きく関わる重要な要素となります。包装費には、適切な包装資材やラベル、箱などの購入費用に加えて、作業労務費が含まれるのが一般的です。また、包装費は商品の性質や輸送方法によって異なるため、効率的な包装手法を選択することが重要です。過剰な包装はコストを増加させるだけでなく、環境への負荷も増大させるため、適切な包装費の管理が持続可能な物流業務において不可欠な要素であると言えます。
―物流管理費
「物流管理費」とは、物流業務において不可欠な経費であり、物流全体の効率や品質を保つために必要な費用を指します。在庫管理システムや輸送ルートの最適化などの管理に関わる費用も含まれます。物流管理費は企業ごとに異なる内容や金額を持ちますが、効果的な物流管理を行うことで、生産性の向上やコスト削減などの効果がもたらされます。また、物流業界のデジタル化が進展する中、物流管理費はITシステムやソフトウェアの導入にも関係しており、適切な投資が必要です。
物流コストが上昇する理由
近年、企業が直面している重要な問題の一つは、物流コストの上昇です。この物流コストの増加には、多くの要因が複雑にからみ合っています。ますます高騰する燃料費が大きな影響を及ぼしており、物流を支える人材確保の困難さや人件費の上昇も無視できません。
加えて、老朽化が進む社会インフラの保守・更新費用の増大や、環境規制の強化に伴うコスト負担の増大なども、物流コストの増加に拍車をかけています。さらに、グローバル化の進展に伴うサプライチェーンの長期化・複雑化により、輸送距離の延長やリードタイムの延長などのリスクも高まっています。
―需要増加と供給不足
需要が急増すると、物流サービスを提供する企業は需要に追いつくために追加のリソースを投入しなければならず、それによってコストが上昇することとなります。一方で、供給不足も物流コストを押し上げる要因の一つです。物流業界において必要な労働力や運搬手段などの供給が需要を満たすには不足している状況が続いており、このことが物流コストの増加をもたらしていると推測されます。
需要と供給のバランスの崩れにより、物流企業は迅速で効率的なサービスを提供するためにコストを削減することができず、結果として物流コストの上昇が引き起こされています。
―働き手不足
日本では少子高齢化が進行し、物流業界でも深刻な課題となっています。労働力不足により人件費が上昇し、労働環境の改善や人材確保のための投資が必要となるため、物流企業はコスト増加を余儀なくされています。また、労働時間の延長や、業務の遅延、停滞の発生など、効率低下も物流コストの増加要因です。
―課題が把握できていない
物流業務において、効率的なコスト管理を行うためには、自社の物流プロセスを理解し、問題点や無駄を見つけることが必要です。ただし、多くの企業は物流プロセスを全体的に把握せず、特定の部分に焦点を絞りがちです。その結果、全体最適化が難しくなり、コストが不必要にかさんでしまう原因となっています。
―配送業務の負荷増加
最近では、オンラインショッピングや個人間の取引が急増しており、商品の配送量が急激に増加しています。このため、物流業界では配達スピードの向上や顧客対応の迅速化が求められるようになり、それに伴い効率的な倉庫管理や労働者確保が重要となっています。さらに、燃料費の高騰や人件費の増加など、配送業務にかかるコストが増えていることも、物流コストの上昇を招いています。
―燃料費の高騰
物流業界では、トラックや船舶などの運送手段に燃料が必要であり、その燃料費の上昇は物流コストに直接影響を及ぼします。石油やガソリンなどの燃料価格が上昇すると、物流企業は運送コストを上乗せせざるを得ず、その結果、商品の配送費用が増加し、消費者への負担も増える可能性があります。特に長距離輸送や大型トラックを使用する物流業者は、燃料費の変動がコストに影響を与えることが多く、経営に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
このように、燃料費の高騰は物流コストの増加につながるため、効率的なコスト管理や燃料の節約策の導入が求められています。また、再生可能エネルギーの活用や効率的な運送ルートの設計など、持続可能な物流システムの構築も、燃料費高騰への対策として重要性を増しています。
物流コストを削減する方法
物流コストの削減は、企業の収益性向上と競争力強化につながる重要な課題であり、物流に関するコストは、製品価格に大きな影響を与えるため、効率的な物流体制の構築が必要不可欠です。物流コストの削減方法を項目別に説明していきます。
―物流業務を効率化する
物流業務を効率化することで、輸送や保管などの工程を最適化し、無駄を省くことが可能となります。運送ルートを見直して距離や時間を最適化したり、倉庫内の作業フローを改善して荷役作業を効率的に行ったりすることで、作業時間や人的リソースのムダを減らすことができます。また、IT技術を活用して物流管理システムを導入することで、在庫管理や配送スケジュールの最適化を図れます。
―人件費を見直す
人件費は物流業務において大きな割合を占めており、効率的な人員配置や労働時間の最適化、労働条件の改善を行うことで、コストの節約が可能です。また、人件費の見直しにはアウトソーシングの活用も効果的であり、外部の専門業者に物流業務を委託することで、固定費を削減し、業務効率を向上させることができます。結果、従業員のモチベーション向上や労働環境の改善にもつながり、生産性の向上に寄与します。
―価格・単価を見直す
物流コストの内訳を明確にし、各費用の高騰要因を分析することで、効果的な削減策を見つけることが可能です。具体的には、運送業者や倉庫業者との契約を再検討し、競争力のある価格でサービスを提供してもらうことで、輸送費や保管費などのコストを軽減することができます。また、効率的なルート設計や在庫管理の最適化を行うことで、余分なコストを削減し、物流プロセス全体の効率を向上させます。最新のテクノロジーを活用して物流プロセスを自動化し、作業時間や人件費を削減する方法も検討しましょう。
―倉庫内の環境を改善する
倉庫内の効率的な配置や整理整頓により、作業効率が向上し、作業者の移動距離や時間を短縮できます。また、適切な照明や通気設備の整備により、作業環境が改善され、作業効率や作業者の快適性が向上します。さらに、倉庫内の設備や機器の最適化により、物流プロセスの効率化や無駄の削減が可能となります。これらの改善策を実施することで、在庫管理や出荷作業などの物流業務全体の効率が向上し、結果的に物流コストの削減につながるでしょう。
―在庫管理を最適化する
在庫管理を最適化することで過剰な在庫を抱えず、在庫コストを削減し、効率的な物流プロセスを実現できます。需要予測や在庫レベルのモニタリングを行い、適切なリードタイムを考慮したオーダーポイントを設定することが重要です。また、在庫回転率や在庫品質の向上を図ることで、在庫コストを低減するだけでなく、顧客サービス水準の向上や収益性の向上にもつながる可能性があります。
―物流拠点の集約
複数の拠点を持つ企業では、拠点の数が増えることで管理費や維持費がかさみ、輸送コストも上昇するといった課題が生じます。そのため、倉庫内の荷物の量を効率的に管理し、物流拠点を減らして集約することで、コストを削減できる可能性があります。集約は企業の競争力向上や利益最大化に資する重要な施策であり、緻密な計画と適切な実行が求められる戦略の一部と言えます。
まとめ
株式会社藤田電機製作所の"WATCHLOGGER(ウォッチロガー)"は、温度・湿度・衝撃のデータ記録を有しています。これにより、多くのメリットが得られ、物流コストを大幅に削減できます。主なメリットとして、品質の劣化を防ぎ廃棄・返品コストを削減するために温度異常を早期発見できることや、温度履歴を記録してクレーム対応を改善すること、データを管理し透明性を向上させること、予防保全により設備故障や商品劣化のコストを削減することが挙げられます。WATCHLOGGERを活用することで、物流プロセスの最適化と品質管理の向上を両立し、物流コストを大幅に削減することが可能です。
物流コストを削減する方法のひとつとして、WATCH LOGGERの導入をご検討ください。WATCH LOGGERについて詳しくは、下記のページをご覧ください。