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バルク輸送とは?メリットやコンテナ輸送との違いを解説

バルク輸送とは?メリットやコンテナ輸送との違いを解説

バルク輸送とは、積荷の梱包を行わず、大量の貨物をそのままの状態で輸送する方法です。主に、液体・固体・粉体の長距離輸送に採用されます。

バルク輸送は通常のコンテナ輸送などとは大きく特徴が異なるため、「バルク輸送とは何かを基礎から学びたい」「バルク輸送のメリットや注意点を知りたい」といった方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、バルク輸送とは何か、メリットや注意点について解説します。コンテナ輸送との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

バルク輸送とは

バルク輸送とは、袋詰めや箱詰め、パレット化などの包装処理を施さず、大量の貨物をそのままの状態で輸送する方式を指します。対象となる貨物は主に液体・粉体・粒体・固体などで、石油・液体化学品・穀物・鉱石・セメント・石炭・木材チップなどが代表的です。

一般的なコンテナ輸送とは異なり、バルク輸送では専用の設備や車両(バルク船・タンクローリー・ホッパー車など)を使用し、貨物の形態や性質に応じて効率的に運ばれます。バルク輸送は、港湾・物流拠点から工場や加工拠点までの長距離輸送において、とくに大量輸送に優れたコストパフォーマンスを発揮する輸送方法です。

バルク輸送の種類

バルク輸送には、大きく分けて液体バルク・固体バルクの2つのタイプがあります。ここでは、液体バルク・固体バルクのそれぞれについて概要を解説します。

–液体バルク

液体バルクとは、石油・化学品・アルコール・牛乳・水・醤油・ジュースなど、液体状の貨物を大量に輸送する形態を指します。この輸送方式では、タンクローリー・タンクコンテナ・タンカー船などが使用され、貨物は一定温度や圧力下で管理されることが一般的です。

液体バルクの輸送では、「混ざらないように区分管理する」「腐敗や揮発を防ぐための密閉」「温度管理」「衛生面の確保」などが求められます。例えば、食品グレードの液体と工業用液体では、タンクの洗浄基準も異なります。また、液体は運搬中に揺れやすく、液体の移動が車体のバランスに影響を与えることから、安全な運転技術も必須です。

–固体バルク

固体バルクは、包装されていない粒状・粉状・塊状の貨物を大量に運搬する方式を指します。輸送対象としては、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物・セメント・肥料・砂利・石炭・鉱石・木材チップなどが代表例です。

固体バルク輸送では、バルク船・ホッパー車・ダンプカー・バルク用鉄道車両などが使用されます。これらは貨物を積み込みやすく、かつ荷下ろし時に効率的に排出できるよう、専用の形状・機構を備えているのが特徴です。

とくに港湾やサイロ、精製所では、コンベヤーやバケットエレベーターなどの荷役設備と組み合わせることで、大量貨物の高速処理が可能となります。固体バルクは取り扱いが簡易に見られがちですが、粉塵の発生防止・防湿・混入防止などの管理体制も求められます。

バルク輸送のメリット

バルク輸送の主なメリットとして、以下の4つを解説します。

–包装資材の削減によるコストカット

バルク輸送の大きな利点のひとつは、包装資材を使わないことによるコスト削減効果です。従来のコンテナ輸送やパレット輸送では、袋詰めや箱詰め、ストレッチフィルムでの固定など、梱包作業と資材費が発生します。しかし、バルク輸送では貨物をそのまま専用車両や容器に積載するため、包装資材の購入費、梱包作業にかかる人件費、資材の管理コストなどを大幅に削減可能です。

これは年間単位で見た場合、とくに大量輸送を行う業界にとっては非常に大きなコストインパクトとなります。また、包装資材の調達や保管、廃棄処理といった周辺業務も不要になるため、間接業務の効率化や省人化も期待できるでしょう。

–輸送効率の向上

バルク輸送は貨物を梱包せず、専用設備を用いて直接積み込み・排出する方式のため、高い積載効率を実現できます。包装されていない分、貨物のすき間なく積載でき、車両や容器の容積を最大限に活用可能です。

これにより1回あたりの輸送量が増え、輸送回数が削減されることで、燃料費・ドライバーの拘束時間・人件費・車両の維持費などの運用コストが抑えられます。とくに、定期的に同一貨物を大量に取り扱う業種(セメント・穀物・石油など)では、積載効率の高さが収益性の向上に直結します。輸送距離が長いほど効率性の恩恵は大きく、長距離幹線輸送においてバルク方式は有効な輸送手段です。

–環境負荷の軽減

バルク輸送は環境配慮の面でも有効な輸送形態です。まず、包装資材を使用しないため、廃棄物の発生が抑えられます。段ボール・プラスチックフィルム・梱包バンドなどは従来の物流で大量に消費される資材ですが、これらが不要となることで廃棄物処理費やリサイクルコストを削減でき、環境負荷の低減が可能です。

さらに、1回の輸送でより多くの貨物を運べるため、配送回数そのものを削減でき、その分だけCO₂排出量も減少します。SDGsやカーボンニュートラルへの対応が求められる現代において、バルク輸送は環境に配慮した方法として企業のESG評価やサステナビリティ指標の向上にも貢献するでしょう。

–サプライチェーンの安定化

バルク輸送は一度に大量の同一貨物を一括輸送できるため、製造業や農業、化学業などでの安定供給に寄与します。とくに、生産ラインに必要な原材料やエネルギー資源を定期的かつ計画的に届ける必要がある企業にとって、バルク輸送は信頼性の高い輸送手段です。

輸送単位が大きいため、納入遅延や数量不足といったリスクを低減でき、サプライチェーンのボトルネックになりにくいのも特徴です。さらに、荷役作業が効率化されていることから、荷受け側での受入処理時間も短縮され、工場や倉庫でのリードタイム短縮に繋がります。

こうした安定的で効率的な輸送は、全体最適化された物流網の構築に欠かせない要素です。とくに長期供給契約のある業種においては、戦略的価値の高い輸送手段といえるでしょう。

バルク輸送とコンテナ輸送の違い

バルク輸送とコンテナ輸送には、貨物の形状・取り扱い方法・運搬単位・運送設備など、多くの点で違いがあります。具体的な違いは、以下の表のとおりです。

項目 バルク輸送 コンテナ輸送
貨物形態 液体・粉体・粒体・塊体など 梱包・パレット化された貨物
包装の有無 基本的に包装なし 梱包・包装が必要
対象品目 石油・穀物・鉱石・セメントなど 家電・雑貨・衣料・食品など
使用設備 バルク船・タンクローリー・ホッパー車など 20ft/40ftコンテナ・リーファーなど
荷役方法 専用設備(ポンプ・コンベヤーなど) フォークリフトなど
メリット 大量一括輸送・コスト低減 汎用性・混載可能・小ロット対応

バルク輸送は特定の形態(液体・粉体・粒体・塊体)に特化した大口貨物を、包装せずに直接運搬する方式です。一方で、コンテナ輸送は家電・衣料品・食品・雑貨など、多種多様な貨物を個別包装してまとめて運搬する方式であり、物流の汎用性が高く、混載や小口対応にも優れています。

バルク輸送は効率性・大量性・コストパフォーマンスに優れた専門輸送手段であり、コンテナ輸送は多品種・小ロット・柔軟性に優れた汎用輸送手段として位置づけられます。企業には自社の貨物の特性や輸送距離、納期、コスト要件に応じた、最適な輸送方式の選択が必要です。

バルク輸送における注意点

バルク輸送における主な注意点として、以下の5つを紹介します。

–専用設備が必要

バルク輸送では、貨物の種類に応じた専用設備や輸送機材が不可欠です。液体であればタンクローリー、粉粒体であればホッパー車やサイロ、固体であればバルク船など、それぞれ特化した装備が求められます。これらの設備は導入コストが高く、また運用においても専門的な技術・知識が必要です。

–厳しい品質管理が求められる

バルク輸送は、貨物が包装されず「むき出し」で運ばれるため、品質管理が重要です。液体であれば腐敗・揮発・沈殿など、粉粒体であれば湿気や異物混入といったリスクが常につきまといます。

とくに食品や化学品などの高付加価値製品では、輸送中の温度・湿度・衛生状態の管理が欠かせません。また、洗浄が不十分であると、前回輸送された成分が残留し、品質劣化や化学反応を引き起こすおそれがあります。

–輸送中のリスク対策が必須

バルク輸送では、輸送中の物理的・化学的リスクにも注意が必要です。液体を運ぶ際には「液体揺動」により車体が不安定になり、転倒や急ブレーキによる事故の原因となる場合があります。また、粉体では粉塵爆発の危険性があり、空気中に広がった粒子が引火すると大きな災害につながるため注意が必要です。

これらのリスクに対応するためには、適切な運搬容器の選定・荷姿の固定・安全装備の導入・法令順守・ドライバーへの教育などの安全対策が求められます。

–誤積・混載は禁止

バルク輸送では、異なる種類の貨物を混載することができないという原則があります。そのため、輸送前に貨物の種類や前回輸送品の履歴、残留物の有無などを厳密にチェックすることが必須です。

–保管や荷下ろし施設との連携が必要

バルク輸送では、輸送手段だけでなく受け入れ側の設備体制も重要です。例えば、液体や粉体をタンクローリーやホッパー車で運んでも、受け入れ施設側に適切な荷下ろし設備がなければ、荷役ができません。

とくに異なる拠点間や外部倉庫との連携では、接続設備の仕様や対応能力に差異があるとトラブルが発生しやすくなります。そのため、事前の技術確認や設備仕様の共有、入出荷スケジュールのすり合わせが不可欠です。

まとめ

本記事では、バルク輸送とは何かについて解説しました。包装処理をせず、大量の貨物をそのままの状態で輸送する方法です。包装資材分のコスト削減や大量輸送による効率化が見込まれる一方、輸送・荷役ともに専用設備が求められる点や、混載ができない点には注意が必要です。

バルク輸送では、積荷がむき出しになっていることもあり、輸送環境の管理が求められます。輸送中の環境を記録するなら、株式会社藤田電機製作所のデータロガー「WATCH LOGGER」がおすすめです。

WATCH LOGGERには、輸送中の衝撃・温度・湿度を記録できるモデルがあり、商品を破損させた外的要因を計測・記録できます。これにより、輸送中のどこで問題が発生したのかが把握でき、適切な対策を講じることが可能です。

現在、WATCH LOGGERのお試し無料レンタルサービスを実施中です。気になる方は、ぜひお気軽に当社にお問い合せください。

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