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倉庫や配送時の熱対策に使える温湿度データロガーの選び方

倉庫や配送時の熱対策に使える温湿度データロガーの選び方

夏場の物流現場が抱える課題

いよいよ梅雨の季節がやってきました。そしてその先には、厳しい夏の暑さが待っています。物流業界では、この時期から9月頃まで、温度と湿度の管理が最も重要な課題となります。「温湿度管理って、そんなに大変なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際の物流現場では、温度や湿度の変化が商品の品質や安全性に大きな影響を与えているのです。

–梅雨時期から真夏にかけての温湿度管理の重要性

梅雨時期(6月~7月)は、気温はそれほど高くなくても、湿度が80%を超える日が続きます。この高湿度環境では、以下のような問題が発生します。


1. カビや細菌の繁殖
食品や衣類、紙製品などにカビが生えやすくなります。

2. 金属部品の錆び
電子機器や精密部品に錆が発生し、機能不全の原因となります。

3. 包装材の劣化
段ボールが湿気を吸って強度が低下し、荷崩れの原因になります。

ある食品メーカーでは、梅雨時期の湿度管理を怠ったために、倉庫保管中の乾物商品にカビが発生。ほとんどの商品を廃棄処分する事態となりました。このような事例は決して珍しいことではありません。また、7月から9月にかけて、物流現場は文字通り「灼熱地獄」と化します。倉庫内では屋根や壁面からの輻射熱の影響で、外気温よりも5〜10℃高くなり、炎天下に駐車されたトラックの荷台では、温度が50℃を超えることも珍しくありません。こうした高温は、取り扱う商品に深刻な影響を与える可能性があります。

 特に厄介なのは、「見た目ではわからない品質劣化」です。高温にさらされた医薬品は見た目が変わらなくても薬効が失われていたり、湿度の高い場所に置かれた食品はカビが見える前から品質の劣化が始まっています。こうした”見えないダメージ”は、後になってクレームや健康被害といった大きな問題として表面化し、企業にとって深刻な損失をもたらします。「まだ6月だから大丈夫」と思いがちですが、夏の暑さはすぐそこまで来ています。温湿度管理は、問題が起こる前の“今”から始めることが、リスクを回避するための第一歩です。

温湿度管理が特に重要な商品や業界

温湿度管理の重要性は業界や商品によって大きく異なります。ここでは、特に厳格な管理が求められる代表的な業界について、具体的な事例とともに分かりやすく解説します。

–食品・医薬品・化粧品業界での事例

1. チョコレート・菓子類
15℃~18℃の涼しい場所で保管するのがベストとされています。もし、温度が28℃を超えてしまうと、チョコレートの表面に白い粉のようなもの(これを「ブルーム」と言います)が出てきてしまいます。ブルームが出てしまうと、食べられなくなるわけではありませんが、見た目が悪くなり、商品としての価値が大きく下がってしまいます。

2. 一般医薬品
ほとんどの薬は、25℃以下、そして湿度60%以下の場所で保管するのが望ましいとされています。なぜなら、薬は熱や湿気に弱く、高温多湿な環境に長時間さらされると、薬の成分が分解されたり、性質が変わってしまいます。そうなると、期待される効果が得られなくなってしまうかもしれません。

3. 香水・化粧水
直射日光を避けて、25℃以下の場所で保管するのが理想的です。熱や強い光に当たると、香水の香りの成分が変わってしまったり、化粧水の肌への刺激が強くなるからです。ある会社の倉庫で温度管理がしっかり行われていなかったために、保管していた香水の香りが変わってしまったという事例があります。これは、ブランドのイメージダウンにもつながってしまいました。

–精密機器や電子部品の保管要件

1. 半導体・IC
一般的に温度20℃±5℃(つまり15℃~25℃の間)、そして湿度45%~65%という比較的狭い範囲で管理する必要があります。もし湿度が低すぎると、静電気が発生しやすくなるからです。静電気は、非常に小さな半導体の回路にダメージを与えてしまうことがあります。逆に、湿度が高すぎると、腐食(サビのようなもの)が進んでしまいます。

2. 光学機器・レンズ
温度の変化を±2℃以内に抑え、湿度も40%~60%の間に保つのが理想的とされています。温度が大きく変わると、レンズの光学特性(光の進み方)が変化してしまうことがあるからです。また、急な温度変化によって結露(水滴)が発生すると、レンズが曇ってしまい、性能が落ちてしまう原因になります。

–季節商品(アイスクリーム等)の特殊事情

1. アイスクリーム・冷凍デザート
マイナス18℃以下で保管することが推奨されており、できればマイナス25℃以下が理想的です。温度が上がってしまうと、アイスクリームの中の小さな氷の結晶が溶けて、再び固まる時に大きくなってしまうからです。こうなると、せっかくの滑らかな食感が失われ、シャリシャリとした残念な食感になってしまいます。

2. お中元・夏ギフト
実は温度管理が非常に複雑な商品でもあります。なぜなら、一つのギフトセットの中に、チョコレートのような食品、化粧水のような化粧品、さらにはTシャツなどの衣料品といった、様々な種類の品物が一緒に詰め合わせられていることが多いからです。これら一つ一つには、それぞれ適した保管温度や湿度があります。

 このように、業界や商品によって温湿度管理の要求は大きく異なります。重要なのは、それぞれの商品特性を理解し、適切な管理基準を設定することです。


倉庫・配送現場での温湿度リスク

物流現場では、商品が様々な環境にさらされます。特に夏場は、想像以上に過酷な温湿度環境が発生し、商品の品質に深刻な影響を与える可能性があります。ここでは、現場で実際に発生する温湿度リスクについて解説します。

–倉庫内の熱のこもりやすいエリア

倉庫は一見すると屋内で安全に見えますが、実は建物の構造や商品の配置により、局所的に高温多湿になるエリアが存在します。これらの「熱だまり」は、商品に予想外のダメージを与える危険な場所なのです。

1. 屋根直下の最上段
屋根からの輻射熱により、外気温より10~15℃高くなることがあります。特に金属屋根の倉庫では、午後の日差しに注意が必要です。

2. 西日が直撃する窓際
午後の強い西日により、ガラス面からの熱で局所的に高温になります。窓際から3メートル以内は特に危険です。

3. 空調の風が届かない「死角」
大型商品や高く積まれた荷物の陰で、空調の風が届かない場所ができます。空気の流れが悪く、熱と湿気がこもりやすくなります。

–トラック輸送中の車内温度上昇

夏場のトラック荷台は「走る巨大オーブン」とも言えるほど高温になり、輸送中の商品に深刻なダメージを与える恐れがあります。金属製の荷台は太陽光を吸収しやすく、特に濃い色の車体では白色よりも5〜10℃高くなります。密閉された荷台内では熱が逃げにくく、荷物が多いほど空気の流れが悪くなり温度がさらに上昇します。また、荷物の配置によって温度差が生じ、特に荷台中央は最も高温になりがちです。

–積み込み・荷降ろし時の外気温の影響

わずかな時間でも、商品が外気にさらされることで品質に大きな影響を及ぼすことがあります。特に真夏日や猛暑日では、冷蔵・冷凍商品はわずか10分ほどで表面温度が急上昇し、品質劣化につながるリスクがあります。アスファルトの照り返しにより体感温度は40℃を超え、作業員の熱中症リスクも高まります。作業時間が5分以内であれば影響は軽微ですが、10〜15分を超えると冷蔵食品や医薬品、チョコレートなどは劣化や変形の恐れがあり、30分を超えると多くの温度敏感商品で重大な品質劣化が発生します。特に午後1時〜3時は日差しが強く、アスファルトの温度もピークに達するため、荷扱い作業は極力避けるべきです。

 これまで見てきた様々な商品の品質を守るために、具体的にどのような対策ができるのでしょうか。大切なのは、温湿度を「見える化」することです。


温湿度データロガーの基本機能と選び方のポイント

これまで解説してきた温湿度リスクに対応するため、多くの物流現場で温湿度データロガーの導入が進んでいます。しかし、「種類が多すぎて何を選べばいいか分からない」という声をよく聞きます。



 そんな中、創業96年の計測器メーカーである株式会社藤田電機製作所の「WATCH LOGGER」が、物流業界で高い評価を得ています。「高性能だけど使いこなせない」「安いけど壊れやすい」といった他社製品の課題を解決し、「現場で本当に使える」データロガーとして開発されたのがWATCH LOGGERなのです。では、具体的にどのような機能や特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

–データ取得・分析の利便性

データロガーで最も重要なのは、「必要な時に、必要な情報を、簡単に取得できる」ことです。いくら正確なデータが取れても、取り出すのに専門知識が必要だったり、分析に時間がかかったりしては、現場では使い物になりません。



 その点、WATCH LOGGERは非常にシンプルです。温度と湿度の変化を同時にグラフ表示できるほか、危険値を超えた時間帯も一目瞭然。週単位や月単位での傾向分析もスムーズに行えます。さらに、アラート機能によって設定範囲を超えた際の警告表示や異常発生時刻の記録も可能で、問題箇所の特定が容易になります。レポート作成支援機能も充実しており、品質管理部門への報告書作成や、顧客への温度管理証明書の自動作成、改善効果の数値的証明なども簡単に行えます。

–防水・防塵性能(IP規格)の確認

IP規格とは、電子機器の防水・防塵性能を表す国際基準です。倉庫内の結露や雨漏り、清掃時の水しぶき、トラック荷台での水濡れ、粉塵の多い環境など、現場は常に水や埃のリスクと隣り合わせです。こうした環境では、防塵・防水性能の高い機器が必要不可欠でしょう。WATCH LOGGERはIP67(水深1mに30分浸けても機器に影響を受けない)の高い防塵・防水性能を備え、厳しい物流現場でも安心して使用できます。清掃中の飛沫、結露の多い倉庫、粉塵が舞う環境など、さまざまな状況でも正常に動作し、砂埃や雨、水しぶきだけでなく、一時的な水没にも耐えるタフな仕様です。

–電池持続時間と交換のしやすさ

データロガーでよくあるトラブルのひとつが「電池切れ」。輸送中に電池が切れてデータが取れない、交換に手間がかかって作業が止まる。そんな事態は避けたいところです。だからこそ、長時間稼働が重要であり、長距離輸送や海外輸送、倉庫での長期保管など、データロガーは何日も連続して動く必要があります。電池が長持ちすれば、メンテナンスの手間もコストも減らせます。 WATCH LOGGERは、最大約3年間連続使用が可能。さらに、電池残量が本体液晶画面のBAT(バッテリー)表示で確認できるので、交換時期もひと目で分かります。


用途別データロガーおすすめ機能

ここでは、物流現場の主要な3つの用途に分けて、データロガーがどのように活用できるかを具体的に解説します。

–倉庫用(長期間設置型、アラート機能付き)

倉庫では、多くの商品を長期間保管するため、データロガーも数ヶ月~数年にわたる連続稼働が求められます。WATCH LOGGERは、1~255分間隔設定で最大約3年間連続稼働。温度・湿度の上限・下限を超えた場合は画面表示で警告。

–配送用(コンパクト、耐衝撃性、衝撃)

配送中のデータロガーは、振動・衝撃・積み下ろし時の取り扱いなど、非常に過酷な環境に置かれます。また、限られた荷台スペースでは、小型で邪魔にならず、かつ耐久性に優れた機器が求められます。WATCH LOGGERは手のひらサイズ・約50gの軽量設計で、荷物の隙間にスムーズに設置可能。積載効率を損なわず、商品への負荷も抑えられます。

–冷蔵・冷凍輸送用(超低温対応)

冷蔵・冷凍輸送は、マイナス30℃以下の超低温から積み下ろし時の外気温まで、短時間で激しい温度変化が発生する特殊な環境であり、一般的なデータロガーでは対応が難しい領域といえます。WATCH LOGGERはマイナス80℃まで測定できる超低温タイプがあります。コロナワクチンのファイザー保管でも日本政府に採用されているので安心してご使用いただけます。


まとめ

倉庫や配送現場では、一時的な測定ではなく「継続的な温湿度の記録と監視」が品質管理のカギを握ります。

–継続的な温湿度管理の重要性

温度や湿度は目に見えず、時間とともに変化するため、異常が発生してもすぐに気づけないことがあります。継続的な記録があれば、「いつ・どこで・どのくらいの異常があったのか」を把握でき、原因究明や改善策の立案にも役立ちます。食品や医薬品などの品質保証では、温湿度の履歴データが法規制や取引先からの証明要求に対応するうえで欠かせません。信頼性の高いデータロガーを使い、定期的なモニタリングを行うことが、品質保持・クレーム防止・業務効率向上につながります。

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