株式会社 ファーマインド様
WATCH LOGGERを使って状況を「見える化」できました。
青果物の調達、商品開発から製造・加工、物流、IT、マーケティングまで青果流通の全てのプロセスをカバーしている「株式会社ファーマインド」。
日本各地に現在14拠点の青果専用センターを運営し、全国規模の物流ネットワークを構築しています。
全国各地がコールドチェーンでつながり、青果物に特化した温度帯物流によって、いつでも鮮度の高い商品を広域に流通させることを可能にしています。
今回、訪ねたのは神奈川県川崎市にある「川崎センター」インタビューに応じてくださったのは、品質管理保証部の皆川さん。
約10年前からWATCH LOGGERをご使用いただいております。長年、WATCH LOGGERを使い続けている方はどのような印象を受けているのか。
そのお話を皆川さんから伺いました。
ファーマインド様がどのような会社か教えてください。
ファーマインドは、青果物等の調達、製造・加工、物流、IT、マーケティングまでを自社で行う、総合流通・開発企業です。
具体的には、追熟によって甘く熟成させたバナナや、食べごろアボカドなどを中心に、手軽なカットフルーツ、国産の味わい野菜・果実、今までにない青果加工品など、時代が求める価値ある青果商材を、バラエティ豊かにお届けすることで、生産者と消費者を繋ぐお手伝いをさせていただいています。
「追熟」とはあまり聞きなれない言葉ですが。
クライマクテリック型フルーツとして分類されるバナナやアボカド、キウイ、洋梨などは畑で収穫されてから活発に呼吸を行うことで熟します。
バナナの場合は完熟した黄色い状態で輸入することが法律で禁止されていますので、熟していない緑色の状態で輸入されます。
キウイやアボカドも完熟の状態で輸送すると日本到着時には劣化してしまいますので、未熟な状態で輸入されてきます。
これらの未熟状態で輸入された青果物は、国内の流通過程の中で完熟させる必要があり、この熟成工程のことを「追熟」と言います。
バナナをただ置いているだけでは個体差により熟度や味がバラバラになってしまいます。
当社では長年積み重ねた独自の追熟加工技術とコールドチェーンネットワークを用いて、全国どこでも均一の品質と味の追熟加工商材を通年でお客様に提供できる仕組みを構築してきました。
例えば、物流拠点間が200km以上離れていると、どうしても輸送振動等により品質を担保できなくなってしまい、美味しい食べごろの熟度の青果物=完熟に近い商品を提供することが難しくなることが分かりました。
これを克服するために輸入青果物が到着する港を中心として内陸部にもセンターを建設し、全ての自社拠点同士を200km圏内の距離におくことで、現在では日本全国で完璧なコールドチェーンネットワークが出来上がり、全国どこへでも品質を維持した状態で商品を届けることが可能となりました。
日本でバナナの消費量はどのくらいなのでしょうか?
輸入及び国産の青果物の中でもバナナは消費量が最も多いフルーツのひとつです。
今後、日本の人口が変動していくとしても、一定の需要は保たれるものと思います。
具体的なバナナ消費量はバナナ輸入組合が運営するバナナ大学の消費動向調査をご参照ください。
バナナの好みも細分化していくのでしょうか?
そう思います。
インターネット、SNSも普及している中で、どういうものがお客様に受け入れられるのか常に気にしています。バナナの甘さやパック本数など流通やお客様への提案の仕方は絶えず変化していくと思います。
また、バナナだけに限ったことではありませんが、味の好みだけでなく、栽培方法や環境への対応、生産体制に至るまで、サステナブルな商品へ高い関心をお持ちのお客様が増えています。
そういったお客様の意識変化に感度を持った商品開発・提供が必要になってくると思います。
御社のホームページに「ファーマ村物語」という動画もありますが、こういった小さいお子さん向けのアプローチもしているわけですね。
小さいお子さんや親御さんに向けてファーマ村物語の動画を公開したり、Facebookで製品情報や試食会などを発信して、食事や食品そのものへの興味をきっかけに、自然からの恵みである青果物をもっと好きになってもらえたら嬉しいですね。
新しい美味しさやクオリティを提案する「真の実(まのみ)」シリーズの野菜、フルーツも気になります。
当社には、主に国産商品を専門に扱う部門もあり、日本各地を巡って、ワンランク上の美味しさやユニークさなど付加価値のある商品を「真の実」ブランドを冠して販売しています。
見つけ出した素晴らしい青果物を広く流通させるために、先程お話した自社拠点同士が200km圏内にあるということが重要になってきます。
温度管理が出来ているコールドチェーンネットワークがないと、広域での流通に耐えられないのです。
例えば「九州でとれたものが北海道でも同じ品質です。」といった保証が出来ません。
従って、それを可能にするインフラを整備したうえで貴重な青果物を全国から集めて、全国のお客様に提供しています。
全国の個性あふれる美味しいものを届けられるのは、加工・保存技術を作りあげてきた当社のコールドチェーンがあってこそのものと自負しています。
弊社のWATCH LOGGERはどのように利用されているのでしょうか?
ISO22000取得、運用のためにカットフルーツを輸送するにあたり、各配送ルートの輸送環境を把握する必要がありました。
導入のきっかけは、まずカットフルーツの物流環境調査でした。
続いて製品を入れる発泡スチロールの最適強度を把握するために利用しました。
発泡スチロールは薄さ・厚さで価格が大きく変わってくるので「品温を維持できる包材かどうか」「どのくらいの衝撃値であれば製品破損もなく品質が保てるか」という検証に利用しました。
実際、測定した衝撃データは参考になりましたか?なりませんでしたか?
とても参考になりました。
多くの場合、青果業界は実際の品物の品質を目で見た印象とそれまでの経験則で評価するのが一般的です。
到着した商品状態が悪ければ全てメーカー側に苦情が来る事が多いですが、そこに数字というデータで「見える化」すると、仮に物流環境中に問題があった場合は、どこに原因があったかが誰でも分かるようになります。
目で見たものしか判断できなかったものがデータで判断できるようになったため、最短で問題を把握し解決することが出来るようになりました。
WATCH LOGGERを使って状況を「見える化」する。数字で表すという事は業界的にもっと必要になっていくと思います。
実際、WATCH LOGGERの使い勝手はどうですか?
ちょうど4月にソフトが新しくなりましたよね?(Standard Edition)
そのタイミングで以前のソフトから切り替えてみたのですが、何の迷いもなく設定できたので使いやすいです。
NFCでデータロガーをリーダーに置くだけなので便利ですね。
ひとつ希望を言えば会社支給のスマートフォンがiPhoneなのでアプリをダウンロードできないのが残念ですね。iPhoneに対応したアプリも作って欲しいです。
その辺は市場調査をして前向きに…
よろしくお願いします!
今後、WATCH LOGGERをどのように活用していきたいですか?
今は当社青果専用センターからお客様へ届くまでの過程で使用していますが、これからは、産地から倉庫、倉庫からセンターに入るまでの国内物流や電池の問題や非該当証明書もクリアしていると訊いておりますので海外からの物流調査も考えています。
あとはマシントラブルへの活用ですね。
例えば弊社の機械設備に衝撃ロガーを取り付け、機械の振動変化と故障との相関がとれれば、定期メンテナンスの頻度を見直したり、壊れるタイミングが予測出来るかもしれないと考えています。
また場内を走っているフォークリフト動作時の衝撃測定値と動画を分析することで運転の癖などを客観評価し安全対策に活かせるかもしれません。
色々な使い道がありそうなのでそれを模索しています。
御社のスローガンでもある「生産者と消費者を繋ぐ」に少しでも
WATCH LOGGERがお手伝いできれば幸いです。
本日は貴重なお話ありがとうございます。
こちらこそ、ありがとうございました。
株式会社ファーマインド様で使用しているWATCH LOGGERはこちら。
温度・湿度・衝撃データロガー 「KT-295F/GX」
株式会社ファーマインド
〒210-0867
神奈川県川崎市川崎区扇町13-1
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