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温度の見える化が、信頼の冷蔵混載輸送を支える─セイノーロジックスの新たな挑戦

温度の見える化が、信頼の冷蔵混載輸送を支える─セイノーロジックスの新たな挑戦

前回「お客様の声」でご紹介させていただいたセイノーロジックス株式会社様が、このたび新たな取り組みとして、"アメリカ向けの冷蔵混載輸送サービス"を開始されました。

その輸送過程において"WATCH LOGGER"がどのように活用されたのか、導入の背景や運用シーンについて、Growth Drivers Department Votainer Division Export Teamチームマネージャーの岩木様に詳しくお話を伺いました。

セイノーロジックス様の主力輸送サービスである、「ばりひえ混載サービス(冷凍)」・「ひんやり混載サービス(冷蔵)」のうち、冷蔵便の"ひんやり混載サービス"を"アメリカ向け"で始められたきっかけについて教えてください。

日本から海外への食品の輸出額は年々増加しており、その中でも特にアメリカは最大のマーケットとなっています。弊社ではすでに香港、基隆(キールン)、シンガポールといったアジア向けの冷蔵混載輸送サービスを運用していますが、その立ち上げ段階から「アメリカにも食品を出荷したい」といったお客様のご要望を数多くいただいていました。

以前から強いご要望があったとのことですが、冷蔵管理が必要な食品を取り扱う特有の難しさもあったのではないでしょうか。

最大限に考慮しなければいけないのは「日本側の倉庫」「輸送時のコンテナ」「アメリカ到着後の現地倉庫」という三段階での温度管理です。当然ながら、この温度管理の体制がきちんとしていなければ実現できないため、そこはかなり調査と検討を重ねました。

「日本側の倉庫」に関しては、長年の運用実績があります。日々の管理体制も確立されており、目の届く範囲で常に温度チェックが行われているため、安心してお預けいただける環境です。

難しかったのは「アメリカ到着後の現地倉庫」です。というのも、冷蔵管理が必要な食品は、どこの倉庫でも簡単に取り扱えるわけではなく、品質保持のためには一定の設備や運用体制が整っている必要があります。そういった条件を満たす現地パートナーや施設を確保するのには、どうしても時間がかかってしまいました。

アメリカ国内では、冷蔵保管に対応できる倉庫が限られているのですね。

ええ。混載便を運用する上では、ローカルの実務担当者が正確に滞りなく業務を遂行してくれるかが重要になります。また、混載便の現地取り扱いを可能にするには、現地側の倉庫が保税倉庫(外国から輸入された貨物の関税や消費税の支払いを一時的に留保できる)であり、FDA認証倉庫(アメリカ食品医薬品局の規制に基づき、食品、医薬品、医療機器などを適切に保管できると認められた倉庫)であることも不可欠なのですが、この辺りも含めた条件でロサンゼルスの駐在員が粘り強く探してくれました。


そしてもう一つ、輸送中の温度管理の信頼性に関して、当然ながらお客様からご心配の声がありました。そこで、初回輸送時にはWATCH LOGGERを使用し、輸送中の温度を計測することで、輸送中のコンテナ内が安定して設定温度に保たれていることを確認することにしました。

ここでWATCH LOGGERの登場ですね。今回、使用された機種はなんですか。

以前、ロシアのシベリア鉄道による欧州向けの輸送実験にも使用した「KT-195U/GX」(USB通信/温度・衝撃)です。今回は温度をメインに測定しました。


輸送中の温度変化を詳細に記録するため、まずは写真のようにロガーをカートンに固定しました。コンテナ内の温度分布も考慮し、ロガーは手前・中央・奥の3箇所に設置しています。

コンテナ内の場所によって、温度にばらつきが出る可能性があるということですね。

はい、まさにその通りです。特に冷蔵コンテナでは、冷気の流れ方によって場所ごとに若干の温度差が生じるため、設置位置を分散させることで、より実態に即した温度管理状況を確認できるようにしました。

測定結果はいかがでしたか。

特に懸念していたのは、海上輸送中だけでなく、現地での温度変化がどのようになるかという点でした。しかし、WATCH LOGGERの記録を確認したところ、輸送全体を通してほぼ理想的な温度管理が行われていたことが分かりました。

万全を期して開始したサービスでしたが、初回輸送において想定通りの結果が実証されたため、今後も自信を持ってお客様に提供することができると考えています。

測定データの回収については、どのような方法で行われたのでしょうか。

実際の回収作業については、現地到着、輸入通関後に弊社現地駐在員がカートンを取り出し、その中に設置していたWATCH LOGGERをそのままFedExで日本に送り返してもらいました。海外での作業となるため、できるだけシンプルで確実な方法を選択する必要があったのですが、FedExであれば追跡も可能で、データの紛失リスクを最小限に抑えることができると判断しました。

それがまさにこちらのデータということですね。



はい、そうです。輸送開始から到着、そして回収まで、約1週間にわたる連続した温度データを確認することができました。このデータがあったからこそ、港からの輸送区間での課題も明確に把握することができたわけです。

「ばりひえ・ひんやり海上混載サービス」についてお聞きした際、"これは絶対にニーズがある!"と思いました。弊社のような中小企業が海外展開への意欲はあるものの、具体的な方法がわからない、あるいは大量の商品がないと輸出できないという仕組みが大きな障壁となっています。

御社のサービス事例紹介でも登場する日本酒の輸送ですが、日本酒はその多くが中小企業である酒蔵さんで製造されていますよね。こうした事業者の方々は、世界に向けて自社の商品を展開したいという強い思いを持ちながらも、様々な課題に直面しています。このようなニーズは非常に大きいのではないでしょうか。

国が公表している日本産酒類の輸出動向データによると、2020年から2021年にかけて、特に欧州向けの輸出が急増しています。この背景には、新型コロナウイルスの影響により、家庭での食事や嗜好に変化が生まれ、日本食や日本文化への関心が世界的に高まったことがあると考えられます。

実際、2020年から2024年のわずか数年の間に、欧州市場における日本産酒類の輸出規模は約2倍に拡大しており、このデータは現地における確かなニーズの存在を裏付けるものとなっています。

(出典:国税庁『最近の日本産酒類の輸出動向について』より転載。"財務省貿易統計データ"に基づく)

ただ、中小の食品メーカー様や酒蔵様からは「自分たちの商品に自信はあるが、海外展開の方法がわからない」「単独では輸出ロットが小さすぎて採算が合わない」というご相談をよくいただきます。

弊社の保冷混載輸送のサービスは、そういったお客様のお声に十分にお応えできるサービスです。単なる物流サービスの提供ではなく、輸送のインフラ整備の役割を担いながら、お客様の輸送の選択肢を用意することで、日本文化の海外発信にも貢献できると思います。

輸送面だけでなくストーリー性やブランド価値の面でも大きな可能性がありそうです。

だからこそ、輸出のためのプラットフォームを用意しておき、そこに興味のある生産者が商品を持ち込める"道の駅的な仕組み"を構築できないかと考えています。

なるほど、共通の"出口"を用意しておくことで、輸出へのハードルをぐっと下げるわけですね。食品業界の輸送の受け皿となることで海外市場に挑むというスタイルは、これからの時代にマッチしているように思います。

ところで、実際に「ばりひえ・ひんやり海上混載サービス」を運用される中で、温度管理以外にも気をつけるべき点はありましたか。

最近、食品輸送においても温度管理だけでは十分でないケースが増えてきています。特に、繊細な食品や高付加価値商品では、輸送中の振動や衝撃が品質に大きな影響を与えることがわかってきました。

例えば、生卵の輸送では、温度管理はもちろん重要ですが、それ以上に輸送中の衝撃は致命的となります。わずかな衝撃でも殻にヒビが入ってしまえば商品価値がゼロになってしまいますし、見た目には問題なくても、内部で卵黄が破れている可能性もあります。高級フルーツや和菓子、さらには発酵食品なども、温度と衝撃の両面からの管理が品質維持の鍵となっており、食品分野でも衝撃データの重要性が急速に高まっているのが現状です。当社の輸送サービスでは、予めWATCH LOGGERを使用して輸送中の温度と衝撃を記録し、課題・問題がないかを確認しておくことで、データに裏付けられた「安心」をご提供することができており、大きな付加価値になると感じています。

弊社でも衝撃データロガーの採用事例が着実に増えており、お客様からの引き合いが活発化していることを実感しています。

工業製品や自動車部品、精密機器、そして半導体関連製品といった衝撃に敏感な製品を輸送する際には、データを取得・蓄積することができれば"輸送中も安全に管理されていた"と具体的に示すことができますよね。これは製品の品質保証や不良解析において、輸送履歴データが重要な判断材料となるケースが多く、お客様にとって大きなメリットとなります。

また、インドやヨーロッパ、アメリカなど、それぞれの輸送ルートで計測した衝撃データは、"この程度の衝撃であれば製品に影響はない"といった判断基準を設ける際にも役立つと考えています。

データに基づいた品質保証という観点で、非常に説得力のあるアプローチですね。温度と衝撃の両方を可視化することで、お客様により安心していただけるサービスに発展していくと思います。

対応範囲を広げていく「冷蔵混載輸送サービス」の展開が楽しみです。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

 

セイノーロジックス株式会社 様で使用しているWATCH LOGGERはこちら。

温度・衝撃データロガー 「KT-195U/GX」


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https://www.logix.co.jp/

冷凍(ばりひえ)・冷蔵(ひんやり)混載サービス

温度管理が必要な小口商品の海外輸送に最適な海上混載サービス。

冷凍・冷蔵倉庫で荷受けした貨物を冷凍・冷蔵コンテナに積み、コンテナ内を一定の温度に保ちながら輸送することにより、食品の品質を損なうことなく海外へ輸出することができます。

また混載便のため、コンテナ一本分の貨物が集まらなくても小口の状態で出荷することができ、利用スペース分の運賃のみでの輸送が可能です。

https://www.logix.co.jp/service/lclex/reeferconsolidation

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