
Kai's Kitchen(カイズキッチン) 様
神奈川県二宮町に、海の恵みを独自の視点で届ける、お店があります。
その名は Kai's Kitchen(カイズキッチン)。店主・甲斐さんが向き合うのは、漁港で埋もれがちな"未利用魚"。
「知られていないだけで、本当はとても美味しい魚をもっと届けたい」その思いから、港へ通い、ときに漁船にも乗って海の"今"を知り、魚と向き合うメニューづくり。
漁師・地域・お客さまとつながりながら、未利用魚の可能性を広げていく姿勢が、この店の芯となっています。
その答えを求め続ける中で、Kai's KitchenはWATCH LOGGERによる食品や冷蔵庫・冷凍庫の温度管理にも新たな価値を見出しました。
その舞台裏とこだわりを、今回はじっくりと伺いました。

Kai's Kitchenさんのスタートは、どのような形だったのでしょうか?
最初は辻堂での間借り営業でした。
週に2日ほど、夜だけカフェのスペースを借りて料理を出していたんです。
それが本当に小さなスタートでした。
現在の店舗は、友人がギャラリー兼アトリエとして使っていた場所です。
東京に戻ると言われた時に「ここ出るよ」と声をかけてもらって、そのまま引き継ぐ形で使わせてもらうことになりました。
内装は1年くらいかけて少しずつ作っていきました。
藤田電機製作所とお店は距離的に近いので、オープン前に夜な夜な作業をしている姿をよく見ましたが、あれは内装づくりをしていたんですね。「何ができるんだろう?」と近所でも噂でしたよ。
気になりますよね。
高校時代の同級生が東京で設計士をしていて、家具の制作や修理も趣味でやっているんですが、「店づくりを手伝うよ」と声をかけてくれたんです。
それからは、仕事の合間に集まって、コツコツと作業を重ねました。
時間はかかりましたが、ゆっくり作り上げた分、この空間には強い愛着があります。
店づくりの背景が少し見えてきましたが、カイズキッチンの魅力といえば“未利用魚(みりようぎょ)”ですよね。そもそも未利用魚とは何か?また、未利用魚に取り組むようになったきっかけを教えてください。
大学の頃、というかもっと前から魚との縁があって、時間があれば釣りに行っていました。
直売所で魚を見ると、「こんなに良い魚なのに、どうしてこんなに安いんだろう」と違和感を覚えることが何度もあり、それが未利用魚と知りました。
未利用魚とは、さまざまな理由で市場に出回りにくく、十分に活用されていない魚のことです。
量がまとまらない、知名度が低い、下処理に手間がかかる。
そんな事情で値がつきにくい魚ですが、きちんと扱えば驚くほど美味しい。
だからこそもったいないなと思っていました。

その後、漁獲から調理まで幅広く手がける会社に入って、鮮魚を扱う部門の面白さにのめり込みました。
ときには、見慣れない魚、いわゆる“変な魚”が届くこともあって(笑)。
でもそれを工夫して店で出すと、お客さんが興味を持ってくれるんですよ。
そうした経験を重ねるうちに、市場価値がつかないという理由だけで埋もれている魚に意識が向くようになり、独立してからは港に通って、さらに深く掘り下げていくようになりました。
そういった未利用魚はどうやって仕入れるのですか?
辻堂時代は、江ノ島の直売所などに通って、手に入る魚を選んで買っていました。
二宮に移ってからは、地元の魚屋さんにお願いして、“いろいろな魚が混ざった箱”をまとめて仕入れることも多かったです。
地元の漁場は魚がしっかり循環していて、無駄が出にくい良い場所なんだなと感じていました。
そんな時、若い漁師の子に「一度、船に乗りに来てください」と誘われたんです。
実際に乗ってみると、網の中には名前が知られていなかったり、扱いに手間がかかったりする“未利用魚”が多くて、「あ、実はこんなにいるんだ」と気づきました。
それ以来、港に足を運んだり、船に乗ったりしながら、自分の目で魚を見て仕入れるようになりました。
漁に同行することで見聞が広がったり、メリットはありましたか?
ありましたね。
めちゃくちゃあります。
乗って本当に良かったと思っています。
沖ではたまにサメがかかったりするんですけど、無駄に殺すのも違うので基本は逃がします。
海の現場に直接触れると、魚の生態や季節の流れ、海そのものへの理解がまったく違うんです。
だから、仕入れるというより海の流れを読みながら選ぶ感覚に近くなりましたね。
そういう感覚ってありますよね。
そうなんですよ。
実際に船に乗ると、網が上がった瞬間の魚の状態や、港に戻るまでの流れの中で、「この魚は今いちばん良い状態だな」、「これは扱いに工夫が必要だな」って判断ができるようになるんです。

未利用魚は、それぞれ状態や脂のりが違いますよね。その魚に合わせた調理法の判断は、経験によるものですか? それとも直感に近いのでしょうか。
基本は経験ですね。
でも、わりと分類学的に考えるんです。
魚って“カサゴ目”、“スズキ目”など分類がありますよね。
それを紐づけて考えると、「ミノカサゴとカサゴは近い種類だから、似た調理法でいけそうだな」といった判断ができるようになるんです。
もちろん失敗もありますよ(笑)。
ミノカサゴなんかは水分量が多いので、軽く振り塩して脱水した方がいい。
そういう“分類 × 料理の組み立て”で考えていく感じです。
何年も何周も繰り返すうちに、このエリアで獲れる魚はほぼ把握できるようになりました。
仕入れは、その日の水揚げを見ながら「今週はこれを出そう」と決める形なんでしょうか。
そうですね。
自分の中に“魚のリスト”があって、それと漁の状況を照らし合わせながら決めていきます。
漁って、いきなり1,000匹獲れるわけではないんですよ。
5匹 → 10匹 → 100匹 → 1,000匹と指数関数的に増えて、またいなくなる。
だから、「網の中にカゴカキダイが見えてきたな」と感じたら、2週間後のメニューに組み込む準備を始めます。
今年は一度に200匹くらいカゴカキダイを買えたので、一気に味噌漬けにしてストックできました。
やっと狙って提供できる状態が整ってきたところです。

藤田電機製作所とは、どのような経緯でつながったんですか?
同じ漁船に乗っている仲間がいて、彼が自分の店で藤田電機さんのライブレジ(POSレジ)を使っていたんです。
話を聞くうちに、データロガー(温度記録計)のメーカーでもあると知りました。
ちょうどその頃、魚の温度管理をもっときちんとやりたい、という課題を感じていたので紹介してもらったのがきっかけです。
もともとHACCPの考え方は意識していて、感覚ではなく、温度管理をきちんと“見える化”したいという思いはありました。
ただ、正直なところ、忙しい業務の中で、毎回温度を書き留めたり、あとから整理したりするのは大変そうだなと感じていて、「やらなければいけないとは思いつつ、現実的に続くのかな」という不安もありました。
そこで藤田電機さんの営業の方に相談してみたところ、説明がとても分かりやすくて、思っていたより敷居は高くないかもしれないと感じたんです。
いろいろな業種や現場を見てこられているからなのか、こちらの状況を踏まえたうえで話してくれるので、疑問点もすっと理解できましたね。
ありがとうございます。日々の業務で、温度管理の大切さを実感されていたんですね。
魚の温度管理は本当に命です。
“何℃で保管していたのか”という確かなエビデンスを残せるかどうかは、安心・安全の面でも、味の再現性の面でもとても重要だと考えています。
世の中には“熟成やってます”というお店も多いですが、本当に適温で管理できているのか曖昧なケースも少なくありません。
だからこそ、正確に継続して温度を記録できる環境が必要でした。
その点、WATCH LOGGERは、こちらが無理をしなくてもきちんとした管理が自然にできるところが魅力でしたね。
特に自動でグラフや結果がまとめられたレポートが出力できるのは驚きました。
こんなに進化しているんだなって(笑)。

万が一のときに「ここにデータがあります」と示せるのは心強いですよね。 実際、温度データをどのように活用しているのですか?
仕入れた魚を保存する際、冷蔵庫や冷凍庫が狙った温度をしっかり保てているかを、データで確認しています。
夜間に温度が上がっていないか、仕込みや営業前後のように冷蔵庫や冷凍庫の開け閉めが増える時間帯で温度がどう動いているかも一目で分かります。
以前は「たぶん大丈夫」だった部分が、WATCH LOGGERを使うようになって、はっきり見えるようになりました。
温度を頻繁に確認したい場所には、Bluetooth通信タイプのロガーを設置して、自分のスマートフォンですぐに現在の温度を確認しています。
一方で、比較的開け閉めの少ない冷蔵庫や冷凍庫には、NFCタイプのロガーを使っています。
NFCタイプは電池の持ちがとても良いので、電池交換の手間がほとんどかからず、日々の管理の負担が減る点も助かっています。
場所や用途に合わせて使い分けられるのは、本当に便利です。
温度が安定しない場所があれば、庫内での置き方を変えたり、出し入れの方法を工夫したりと、すぐに改善できます。
こうした調整ができるのも、日々の温度変化が自動で蓄積されているからですね。
温度管理というと、他はいかがですか?
お酒の温度管理を徹底しています。
冷蔵庫から出した後に急激に温度が上がらないよう気を付けていて、注いだらすぐに冷蔵庫へ戻すようにしています。
温度記録を取ることで、季節に応じて冷蔵庫の設定温度を調整したり、より良い保管環境を整えるヒントも得られています。
魚だけでなく、お酒も温度を意識することで品質を安定させられると実感していますね。

これまでたくさんお話を伺ってきましたが、今後カイズキッチンをどんなふうにしていきたいと考えていますか。
そうですね。
まずは今と変わらず、しっかりとお店を運営していくこと。
そして、これからも船に乗り続け、季節ごとのおいしい魚を知ってもらい、味わってもらう。
その積み重ねでファンが増えていく、そんな流れをこれからも大切にしていきたいと思っています。
その一方で、お店だけに限らず、情報発信にも力を入れていきたいと考えています。
今は店内での会話に加えて、 Instagram や Facebook 、 YouTube などのSNSも使いながら、魚のことや料理のこと、日々の取り組みを発信しています。
うちは駅から少し離れていて、電車で30分〜2時間ほどかけて来てくださる方も多いのですが、物理的な距離にはどうしても限界があります。
だからSNSを通じて、距離に関係なく、魚の魅力や調理方法を共有できたらと思っているんです。
逆に「私の地域では、こんな食べ方をしていますよ」と教えてもらえれば、それが新しいメニューのきっかけになることもあります。

お店を軸にしながら、外にも少しずつ世界を広げていく、というイメージなんですね。
はい。 実際、船に乗っていると、いわゆる“もったいない魚”って本当にたくさんあるんです。
味はおいしいのに、知名度が低かったり、食べ方が分からなかったりして評価されにくい魚たちですね。
そうした魚を活かして、将来的には加工食品や半加工品にも取り組んでみたいです。
パン粉をつけた状態の魚フライを並べて、注文が入ったらその場で揚げる惣菜店。
あるいは、地元で獲れた魚を使った立ち食い寿司を駅前でやるのも面白そうです。
ミノカサゴを握って出すような、ちょっと尖った専門店もいいですね。
そういう形で、今まで表に出にくかった魚にもスポットを当てられたらと思っています。
だから、いずれは一緒にやっていける職人を育てていきたいです。
お店の仕事や日々の取り組みを発信する中で、それを見て興味を持ってくれる人がいれば、ぜひ一緒にやってみたいと思っています。
教えられることもたくさんありますし、人が増えてくれば、新しい店舗を考えたり、取り組みを広げたりと、自然と選択肢も増えていくはずですから。
情報発信が、単なるお知らせではなく、これからの仲間づくりや次の展開にもつながっているわけですね。
もしすべてが順調に進めば、将来的には漁船を持ちたいという夢もあります。
定置網で魚を獲り、その魚を自ら加工し、さらに飲食まで手がける。
そんな“獲る・つくる・食べる”を一気通貫で実現できたら理想ですね。
ただおいしい料理を提供するだけでなく、水産物の流通の仕組みや価値の付き方といった当たり前を、少しずつでも変えていけるようなインパクトを生み出していきたいと思っています。
これからのカイズキッチンがどんな形に進化していくのか、ますます楽しみです。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。

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