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医療機器運搬の注意点とは?医療機器の種類と取り扱いを解説

医療機器運搬の注意点とは?医療機器の種類と取り扱いを解説

医療現場を支える物流の中でも、医療機器物流は特に厳格な管理が求められる分野です。人命に直結する医療機器や材料は、輸送中の適切な品質管理やトレーサビリティの確保が欠かせません。滅菌医療機器や精密機器の取り扱いには、高度な専門知識と設備が必要であり、温度・湿度管理や振動対策など、徹底した配慮が求められます。また、IoT技術やAIを活用した効率化も進む中、医療機器物流は医療システム全体の基盤を支える重要な役割を担っています。本記事では、医療機器物流の概要や取り扱いの注意点に加え、医療機器の運搬対策に有効なデータロガーについてご紹介できればと思います。

目次

医療機器運搬の詳細

医療機関や施設に欠かせない医療機器・材料を、適切な品質管理のもとで保管・輸送することを指します。医療機器は人命に直結する製品であるため、温度管理や衛生管理、トレーサビリティの確保など、一般的な物流以上に厳格な基準と管理体制が求められます。特に、滅菌医療機器や精密機器の取り扱いには、GMPやGDPに準拠した専門的な知識と設備が必要となります。また、緊急配送への即時対応や、災害時のBCP対策も重要な要素です。

 近年では IoT技術やRFIDを活用した在庫管理システム、AIによる需要予測など、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入も進んでいます。医療機器のサプライチェーン全体での品質保証と安全性確保は、患者の安全に直結しているため、医療機関物流は医療システムの根幹を支える重要なインフラストラクチャーとして位置づけられています。

医療機器の種類と4種類の品質管理

医療機器物流では、運搬品の種類や特性に応じた適切な管理が求められます。対象は主に医療機器、医薬品、検体、治験薬の4つに分類され、それぞれに専門的な取り扱いが必要です。これらの運搬には温度・湿度管理や振動対策など、品質を保つための徹底した対策が欠かせません。まずはどのようなものが対象なのか見ていきましょう。


–医療機器

・大型の画像診断機器
MRI(磁気共鳴画像装置)、CT(コンピュータ断層撮影装置)、X線撮影装置などがあり、これらは非常に慎重に取り扱われ、専門的な設置作業が必要です。

・生体情報モニタリング機器
心電計、血圧計、パルスオキシメーターなどがあり、患者の状態を常時監視する装置として重要です。

・手術室で使用される機器
手術用顕微鏡、内視鏡システム、手術用ロボット(da Vinciなど)、電気メス、麻酔器、また生命維持管理装置なども含まれます。

・普段から使われる医療機器
注射器や点滴セット、カテーテル、手術用器具などの医療用消耗品。これらは滅菌状態を保つことが必須であり、使用期限の管理も非常に重要です。近年、在宅医療が広まる中で、在宅酸素療法装置や睡眠時無呼吸症候群治療器(CPAP)なども、重要な商品となっています。

–医薬品

錠剤やカプセル剤は固形の医薬品で、比較的安定しており取り扱いが容易です。一方で、液体の医薬品であり液剤は、温度変化や振動に弱く、破損のリスクが高いという特徴があります。また、注射剤は使用時まで滅菌状態を維持することが極めて重要です。生体由来の成分で作られた生物学的製剤は、特に温度管理が厳しく、冷蔵または冷凍状態での輸送が一般的です。このように、医薬品はその種類ごとに特性や管理方法が異なるため、それぞれに応じた適切な取り扱いが求められます。

–検体

検体にはさまざまな種類があり、それぞれ特有の特徴があります。例えば、血液検体は血液型判定や貧血検査、感染症検査などに利用され、温度変化に弱いため、凝固防止剤が添加される場合もあります。尿検体は糖尿病や腎臓病の診断に用いられ、細菌汚染を防ぐために冷蔵保存されることが一般的です。組織検体は生検で採取された組織片で、がん診断などに使用され、固定液に浸されて形状を保つことが求められます。その他にも、髄液、痰、糞便などの体液や分泌物が検体として扱われ、それぞれの性質に応じた適切な運搬方法が必要とされます。

–治験関連

治験薬は、新しい薬の有効性や安全性を評価するために開発段階で使用される薬剤であり、その輸送には厳格な温度管理や品質管理が必要です。治験薬は保管条件に応じていくつかのタイプに分類されます。低温医薬品は冷蔵庫や冷凍庫での保管が必要なもので、インスリン製剤などが含まれます。一方、室温医薬品は常温で保管可能で、錠剤やカプセル剤がその代表例です。また、湿気に弱い室温医薬品には乾燥剤が同梱されており、さらに厳しい条件が求められる冷蔵乾燥剤入り医薬品は、冷蔵保管に加えて湿気への対策が重要です。

医療機器を運搬する際の取り扱いの注意点

医療機器の運搬には、製品の特性に応じた細心の注意が必要です。 衝撃や振動、温度変化、湿度など、様々な要因が機器の性能や安全性を損なう可能性があります。そのため、適切な梱包材の選定、滅菌状態の維持、温度管理、振動対策など、多岐にわたる対策が求められます。これらの対策は、医療機器の品質保証に不可欠であり、患者さんの安全を守るためにも非常に重要です。


–適切な梱包

医療機器の特性に応じた梱包材の選択が不可欠で、衝撃吸収性の高い緩衝材や防振材を使用し、輸送時の振動や衝撃から機器を保護する必要があります。特に精密機器の場合は、専用の防振ケースや衝撃吸収パレットを使用し、さらに温度変化や湿度の影響を考慮した断熱材も併用します。

滅菌医療機器の梱包

滅菌バリデーションが実施された専用の滅菌バッグや滅菌コンテナを使用し、二重包装を基本とします。外装には防水性と防塵性を備えた材料を使用し、滅菌状態を確実に維持できる設計が求められます。また、梱包材自体からの発塵や静電気の発生を防ぐため、クリーンルームでの梱包作業や帯電防止処理された材料の使用も重要です。

 「天地無用」「温度管理品」「精密機器」などの警告表示や、保管温度条件、湿度条件などの品質管理情報を外装に明記します。さらに、トレーサビリティを確保するため、製品情報、製造番号、滅菌日付などの情報も適切に表示する必要があります。

大型医療機器の梱包

分解・組立手順を考慮した梱包設計が必要で、再組立時の作業効率や安全性を確保するため、パーツごとの適切な梱包と明確な識別表示が求められます。また、複数の輸送手段を使用する場合は、各輸送形態での荷扱いの特性を考慮した多層的な保護設計も必要となります。これらの梱包要件は、医療機器の製造業者が定める品質基準や、関連法規制に準拠して実施しましょう。

–温度管理・防湿対策

医療機器は一般的に、保管・輸送時の温度範囲が15℃から25℃、相対湿度が30%から60%の範囲内に維持されることが推奨されており、この基準を外れると製品の性能や安全性に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に、電子部品を含む精密医療機器は、温度変化や湿度による結露に非常に敏感です。結露は電子回路の腐食や短絡を引き起こすため、温度変化の急激な変動を避け、適切な防湿対策を講じる必要があります。このため、輸送車両には温度管理システムが装備され、温度モニタリングと記録が行われます。また、防湿パッケージや乾燥剤の使用、適切な梱包材の選択など、多層的な湿度管理対策も実施されています。

 滅菌済み医療機器については、専用の保冷・保温コンテナの使用や、温度逸脱警報システムの導入、温度ロガーによる継続的なモニタリングが実施されます。輸送中の急激な温度変化を防ぐため、積み降ろし時の温度順応時間の確保も重要な管理ポイントとなっています。これらの温度管理・防湿対策は、GDPガイドラインに基づいて標準作業手順書(SOP)として文書化され、定期的な教育訓練と品質監査によって、その遵守が確認されています。万が一、温度逸脱や湿度異常が発生した場合には、製品の品質評価と安全性確認を行い、必要に応じて製品の使用可否判断や代替品の手配などの対応が速やかに実施されます。このように、医療機器の温度管理・防湿対策は、製品の品質保証システムの中核を成す重要な要素として、継続的な改善と最適化が図られています。

–振動・衝撃対策

MRIやCTスキャナーなどの大型診断機器は、内部に精密な電子部品や光学系を有しているため、運搬時の振動や衝撃により深刻な損傷を受ける可能性があります。そのため、専用の防振パレットやエアサスペンション装備の特殊車両を使用し、輸送中の振動を最小限に抑える必要があります。また、振動・衝撃対策では、医療機器の特性に応じて、発泡ポリエチレン、エアクッション、ハニカム構造の緩衝材など、最適な保護材を使用します。特に、精密検査機器や手術用顕微鏡などは、わずかな衝撃でも光学系のズレや校正値の狂いが生じる可能性があるため、多層構造の緩衝材による保護が必要となります。

 運搬時の振動管理では、加速度センサーやショックインジケーターを活用し、輸送中の振動や衝撃を測定することが重要です。許容値を超える振動や衝撃が発生した場合、即座に確認と対策を講じることが可能となります。輸送ルートの選定においても、路面状況の良好な経路を優先的に選択し、急ブレーキや急な車線変更を避けるなど、運転技術面での配慮も考慮しましょう。

まとめ

医療機器や材料は人命にかかわるため、品質管理やトレーサビリティの確保が欠かせません。特に滅菌医療機器や精密機器の取り扱いには高度な専門知識と設備が必要であり、温度や湿度の管理、振動対策など細やかな配慮が必要です。

–医療機器物流を多方面で支えるデータロガー

株式会社藤田電機製作所の”WATCH LOGGER”は、医療機器物流における温度・湿度・衝撃の管理において、以下の特長から特に適していると考えられます。まず、医療機器の品質管理に不可欠な温度と湿度の同時モニタリングが可能です。医療機器は厳格な環境条件下での保管・輸送が求められ、特に滅菌医療機器や精密機器は温湿度の変化に敏感です。WATCH LOGGERはこれらの環境データを高精度で記録し、製品の品質維持を確実にサポートします。



 次に、輸送中の衝撃値を定量的に計測できる機能は、振動に弱い精密医療機器の管理に極めて有効です。特にMRIやCTスキャナーなどの高額医療機器の輸送時には、わずかな衝撃でも深刻な影響を及ぼす可能性があるため、この機能は運送品質の保証に大きく貢献します。



 また、データロガーとしての使いやすさも特筆すべき点です。コンパクトな設計により、様々な医療機器の梱包材に容易に組み込むことができ、長時間の連続記録が可能なバッテリー寿命も実現しています。特に、温度・湿度・衝撃という物流品質に関わる重要な要素を一台で測定できる利点は、医療機器物流の効率化とコスト最適化にも寄与する要素となっています。

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