生花の品質管理向上に欠かせない温度データロガーの利点
生花は私たちの心を癒し、幸せな気分にしてくれます。しかし、生花は温度変化に敏感で、輸送中や保管中の温度管理が適切でないと、品質が大きく劣化してしまう危険性があり、時と場合によっては、完全に枯れてしまいます。
こうした生花の品質低下を防ぐために、注目されているのが温度データロガーの活用です。データロガーを使えば、生花の輸送中や保管中の温度変化を正確に記録し、可視化することができます。生産者、流通業者、小売店が連携して、データロガーによる温度管理の「見える化」を進めることで、生花流通の効率化、輸送ルートの最適化や保管方法の改善など、生花の品質維持と流通の合理化を両立させることが可能になります。その品質と鮮度を守るために、温度データロガーの活用が大きな役割を果たすことができる方法を紹介いたします。
目次
生花輸送における温度管理の重要性
―生花は温度変化に非常に敏感
生花は生きた植物の一部であるため、温度変化に敏感です。適切な温度範囲を外れると、細胞の代謝に異常をきたし、花の鮮度が損なわれます。また、気温が高すぎると、花弁から水分が過剰に蒸散し、萎れや斑点ができます。逆に低温では水分の吸収が滞り、花が潰れやすくなります。このように、温度変化により水分バランスが崩れ、花の品質が低下します。温度変化は開花の進行にも影響を及ぼし、高温で急激に開花が進み、低温では遅れます。このような開花リズムの乱れは、商品価値を下げる要因となります。適切な温度管理がされないと、品質劣化や枯れが早まる可能性があります。
生花の品質を守る温度データロガーの活用
―データロガーを活用し、温度変化を記録・モニタリング
生花の品質を守るために温度データロガーを活用すると非常に便利です。なぜ便利になるのか丁寧にご紹介いたします。
1. 温度履歴の詳細記録・分析
データロガーを用いれば、生産地から販売店までの温度変化を時間単位で詳細に記録でき、後から温度履歴から分析することができます。適正温度から乖離があった場合、「いつ頃どの程度(温度変化が)あったか」を特定できます。
2. 温度異常の要因特定
温度データから、急激な温度変動や長時間の高温/低温暴露などの異常を検知できます。それにより、品質劣化の温度的要因を特定することが可能になります。
3. 適正温度帯の設定
分析結果から、各工程における品質保持に適した温度帯を導き出せます。出荷時、輸送時、店頭保管時の目標温度を品種ごとに設定できます。
4. 温度管理方法の見直し
温度データに基づき、輸送ルートや保管設備、温度コントロールの手順などを見直すことができます。地域や季節による温度変化への対策も立てられます。
5. トレーサビリティの確保
温度データは生花の品質管理の証跡となり、トレーサビリティを担保できます。品質クレームへの原因究明や、最適な温度管理のエビデンスになります。
このように、データロガーによる温度の見える化は、生花の品質保持に欠かせない重要な役割を果たし、データに基づく適切な温度管理が、高い商品価値の維持につながります。
画像は、胡蝶蘭の栽培時に、ビニールハウス内の温度をデータロガーを用いて測定した様子です。この測定データを元に、積算温度分析が行われ、胡蝶蘭を配置する最適な場所が特定できました。ビニールハウス内の微気候を詳細に把握することで、胡蝶蘭の成長や栄養吸収に影響を及ぼす温度変化を把握し、適切な環境も把握できます。胡蝶蘭の栽培においては、ビニールハウス内の温度管理が非常に重要であり、データロガーを活用した温度測定は、適切な栽培環境を整えるために欠かせない手法と言えるでしょう。
WATCH LOGGERが生花管理に向いている理由
―取り付け簡単、自動レポート作成、IP67の防水性
株式会社藤田電機製作所の「WATCH LOGGER」(NFC通信タイプ)が生花管理に向いている理由は、その多機能性と使いやすさにあります。
1. 装着しやすいコンパクトさ
コンパクトでデザイン性に優れているウォッチロガーは生花の束にすっきりと取り付けられます。よく目立たず、見た目の美しさを損ないません。配線の絡まりや引っ掛かりが無いケーブルレスなので、生花の扱いがスムーズになります。
2. 自動レポート作成
収集した温度データから自動でレポートを作成できる便利な機能を備えています。温度データをグラフ化したり、表に集計する作業が不要になり、煩雑な手作業から解放されます。レポート作成にかかる時間とコストを大幅に削減できます。作業の効率化と分析の精度向上を実現し、生花の品質管理を強力にサポートします。(サンプルレポートはこちら)
3. IP67
IP67の防水等級は、一時的な水没にも対応できる高い防水性能を示しています。(水深1mに30分浸けても影響を受けない)生花の手入れで水を使うシーンでも、ロガーの取り外しや養生の手間がかかりません。防水性能が高いので、そのままお手入れができます。
温度管理の見える化による生花流通の効率化
―データロガーで可視化された温度履歴情報を共有
生花の流通において、温度管理を見える化することで数々の効果が期待できます。データロガーを用いることで、生花の温度履歴を可視化・共有しましょう。
1. 温度異常の早期発見と原因特定が容易に
異常が発生した際には、データロガーが記録したデータを参照することで、その原因を特定し、即座に対処することができます。これにより、機器や製品のダメージを最小限に抑えるだけでなく、生産プロセスの安定性や効率性を向上させることができます。
2. 各工程における適正な温度帯の確立が可能になる
正確なデータ収集と分析により、生産プロセス全体において品質管理や効率化が促進されるだけでなく、さまざまな側面で生産性を向上させることが期待できます。
3. トレーサビリティの確保と温度証跡の活用が行える
トレーサビリティは、製品やサービスの生産過程や流通経路を追跡し、透明性を確保することです。これは品質保証の向上や消費者への信頼構築にも貢献します。
4. 測定データを活用し関係者全員が一体となって課題や対策を検討可能
意思決定の根拠となる客観的なデータを得ることができるため、チーム全体で一致団結して課題を克服するための最適なアプローチを模索することができます。
5. ムダな温度ロスの削減が実現
適切な温度管理を行うことで生産効率の向上やコスト削減にもつながり、ムダな温度ロスを最小限に抑え、製品品質の向上や経済的なメリットを享受することができます。
以上のように、温度管理の見える化によって生花流通の課題が明確化し、関係者間での対策立案が容易になります。生花の品質向上と流通プロセスの効率化にデータロガーを上手に活用しましょう。