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現場で選ぶ!温湿度データロガーのおすすめサイズと導入事例

現場で選ぶ!温湿度データロガーのおすすめサイズと導入事例

データロガーの選定においては、「何を」「どのように」測るかという機能面だけでなく、「どこに」「どのように」設置するかというサイズ面も同等な検討項目です。最適なサイズのデータロガーを選ぶことで、正確な測定結果を得ながら、現場の制約や要求にも対応することができます。本記事では、実際の現場でデータロガーのサイズがいかに重要か、具体的なシーンを通して探っていきます。

目次

なぜ機能性ではなくサイズなのか?

 

–データロガーの基本的な役割

データロガーは、温度や湿度のセンサーを通じて収集したデータを内部メモリに自動記録し、PDFやCSVで出力することができます。冷蔵・冷凍食品の輸送中の温度変化、精密機器の保管環境など、目に見えない変化を「見える化」します。多くの場合、機能面が重視されがちですが、実際の現場では、意外にも「サイズ」が決定的な選定要因になることが少なくありません。

–サイズ・形状が使用シーンによって重要になる理由

なぜサイズが重要なのでしょうか。それは、データロガーが使われる環境の多様性と制約によります。限られたスペース、狭い空間など、測定対象や設置場所によっては、データロガーが難しい場面が数多く存在します。作業者の動きを妨げない、設置や取り外しが容易、目立たず景観を損ねないなど、現場の実情に合わせたサイズ選びが、長期的な運用成功の鍵を握っています。

ロガーのサイズでみる現場の具体例

実際の使用例をみてきましょう。

–医療・研究分野での活用

1. 輸送時の温度管理
「検体ボックスの横にデータロガーを入れたら、他の検体が入らなくなった」こんな経験はありませんか?大きなデータロガーでは、貴重なスペースを圧迫し、輸送効率を下げてしまいます。カードタイプの小型・薄型データロガーなら、検体ボックスの隅や仕切りの間にも容易に設置でき、スペースを最大限に活用できます。

 また、複数のデータロガーを異なる位置に配置することで、ボックス内の温度ムラも正確に把握できるようになります。(参考:「場所で温度が違う?温度分布から見るマッピングの重要性」)

2. 研究室内での長期計測
インキュベーターや冷蔵庫、フリーザーなど、さまざまな機器内の環境を長期間にわたって監視する必要がある研究機器の内部空間は意外に狭く、大型のデータロガーを設置すると実験サンプルのスペースが圧迫されてしまいます。

 ある細胞培養の研究では、インキュベーター内の微妙な温度変化を記録するために、複数のデータロガーを設置する必要がありました。従来型のデータロガーでは、培養皿の配置に影響が出るほどスペースを取ってしまいましたが、コンパクトサイズのモデルに切り替えたことで、実験の効率と精度が向上したという事例があります。目立たず邪魔にならないコンパクトサイズのデータロガーなら、実験台の隅や機器の側面に設置しても作業の流れを阻害せず、研究者は本来の業務に集中できます。

–文化財・美術品の保存管理

美術館や博物館の展示ケース内では、展示品そのものの魅力を最大限に引き出すことが最優先です。ガラスケース内に設置されたデータロガーが来館者の目に入れば、作品鑑賞の妨げになってしまいます。繊細な日本画や工芸品の展示では、ケース内の限られたスペースに照明や台座と共にデータロガーを配置しなければなりませんが、ここで使用されるのは、小型タイプや、薄型で目立たなく取り付けられるモデルです。データロガーの存在を気にせず、来館者が作品そのものに集中できる環境を整えることが、展示の質を高めるポイントなのです。

 また、貴重な文化財の輸送時にも、データロガーのサイズが関わってきます。美術品の輸送は専用の緩衝材や防振装置を備えた特殊な梱包で行われますが、その梱包内にデータロガーを設置して、輸送中の振動・衝撃や温湿度変化を監視します。ここで大型のデータロガーを使用すれば、それ自体が文化財に接触して傷をつけるリスクを生じさせてしまいます。文化財を傷つけない小さなサイズ感は、輸送の安全性を担保する上で欠かせません。



 某寺院の古文書保管庫では、江戸時代からの貴重な巻物や書状が専用の桐箱に収められ、多段の収納棚に保管されています。ここでの環境モニタリングには、厚さわずか数ミリの薄型データロガーが活躍しています。これらは桐箱の隙間にも無理なく収まり、文書に接触することなく長期的な環境監視が可能です。バッテリー交換や定期点検の際にも、薄型設計により文書を移動させる必要が最小限で済むため、取り扱いによる劣化リスクも低減できるのです。

 文化財保存の現場では、「最も良い保存環境とは、環境変化が最も少ない状態である」という原則があります。データロガーもまた、その存在自体が新たな環境変化の要因とならないよう、できる限り存在感を抑えたサイズであることが理想的です。文化財の価値を損なわず、かつ確実に守るためのデータロガー選びにおいて、サイズは重視すべき選定基準であり続けるでしょう。

–物流・輸送業界での活用

1. トラック荷台での衝撃監視
荷台内の環境変化や振動・衝撃を正確に把握することは、商品の品質保証に直結します。しかし、満載の荷台では、わずかなスペースも無駄にできません。そんな現場で活躍するのが、コンパクトで堅牢なデータロガーです。

 某精密機器運送会社は、以前は大型のデータロガーを使用していましたが、荷崩れの際にロガー自体が他の荷物に損傷を与えるトラブルが発生していました。そこで、コンパクトタイプに変更したところ、積載効率を損なうことなく、スムーズな運用が可能になりました。特に振動・衝撃を記録するロガーは、それ自体が衝撃源にならないものが選ばれています。

2. コールドチェーンでの食品品質管理
食品業界においては、生産から消費までの一貫した温度管理、いわゆるコールドチェーンが重要視されています。内蔵センサーにより本体のみで測定が可能なため、個包装された食品にも手軽に投入・設置でき、多少ラフに扱っても動作に影響しにくい堅牢性が評価されています(程度による)。また、IP67の防水性能により、氷や水が直接かかるような厳しい輸送環境でも問題なく使用できる点も大きな利点です。小型でありながら耐久性と防水性を備えたロガーは、過酷な食品物流現場でも安心して使用できる“使い勝手の良さ”という付加価値を提供しています。

3. 国際輸送コンテナ内の環境モニタリング
海を越えるコンテナ輸送では、数週間から数ヶ月にわたる長期間の環境監視が必要となります。この過酷な用途では、バッテリー寿命と設置場所の制約という、一見相反する要求を満たすサイズが求められます。

 某化学品メーカーは、アジアから欧州への輸送において、湿度変化による製品劣化に悩まされていました。解決策として、国際輸送が容易であり、コンパクトかつ3年間稼働可能なデータロガーを採用。コンテナ内の目立たない場所に固定でき、かつ防水・防塵性能を備え、長期間のデータ収集が可能なこのロガーは、問題発見と対策立案に貢献しました。

–農業での活用

施設園芸の現場であるビニールハウスや植物工場では、温度・湿度・CO2濃度・光量などの環境要素を細かく制御することが収穫量や品質を左右します。こうした環境下でのデータロガー選びでは、作業の効率性と環境への影響を考慮したサイズ感が重要です。ハウス内では日々の収穫作業や植物の手入れ、消毒作業などが行われます。大きいデータロガーは作業者の動線を妨げたり、農機具に引っかかったりするリスクがあります。特に忙しい収穫期には、邪魔になり「取り外されてしまう」という現実があります。

 小型でコンパクト、なおかつ植物の茎や支柱に容易に取り付けられるクリップ式や、軒下に目立たなく設置できる防水性が高く薄型モデルが重宝されるのは、このためです。最近では、葉の間に設置しても気づかれないほど小さなデータロガーも登場し、より自然な状態での環境モニタリングが可能になっています。

サイズ選びのポイント

1. 設置場所の空間的制約
データロガーを導入する現場には、必ず物理的な制限が存在します。医薬品輸送用の小型保冷ボックス内では、検体スペースを最大化するために極めて薄型のロガーが求められます。精密機器の内部に組み込む場合は、既存の構造に適合する特定のサイズと形状が要求されることもあります。このように、設置スペースを事前に正確に把握し、そのスペースに適合するデータロガーを選ぶことが、導入の第一歩となります。

2. 測定対象への影響を最小限に抑える
サイズが不適切だと逆に対象に影響を与えてしまう矛盾が生じます。特に温度測定においては、ロガー自体の熱容量が小さな測定対象の温度を変えてしまうことがあります。測定の正確性を確保するためには、可能な限りコンパクトなデータロガーを選ぶことが望ましいでしょう。

3. 現場の作業性・視認性とのバランス
データロガーは現場で扱われる道具でもあります。工場の生産ラインで使用される場合、作業者が手袋をした状態でも容易に操作できるサイズが求められます。反対に、野外での長期観測では、草木に隠れて見失わないよう、ある程度の大きさと目立つ色彩が必要になることもあります。また、その場でデータを確認する必要がある場合は、表示画面の視認性も重要です。小型化によって画面が極端に小さくなると、高齢の作業者には負担となります。このように、実際に機器を扱う人の特性や作業環境に合わせたサイズ選びが、日々の運用をスムーズにします。

4. 耐久性とバッテリー寿命
一般的に、小型のデータロガーほど連続使用時間が制限されます。国際輸送の全行程を記録するには1〜2週間の連続稼働が必要ですが、超小型モデルではバッテリー寿命が足りない場合があります。また、小型化によって筐体の強度が低下し、過酷な環境での耐久性が損なわれることもあります。必要以上の小型化を追求するのではなく、使用環境と必要稼働時間に応じた最適なバランスを見極めることが大切です。

 これらのポイントは互いに関連し、時には相反します。視認性を高めるために大きな表示画面を搭載すると、小さな検体への影響が懸念されます。最適なデータロガー選びとは、これらの要素を総合的に評価し、最も重要な要件を満たしながら、他の条件にも可能な限り対応することがデータロガー活用の成功につながります。

様々なサイズに対応したデータロガー

データロガーの選定に悩まれている方は、株式会社藤田電機製作所の"WATCH LOGGER"シリーズから、あなたの現場に最適なサイズと機能を持つモデルを探してみてはいかがでしょうか。

1. 多彩なサイズ展開
小型モデルから視認性に優れた大型液晶表示モデルまで、幅広いラインナップを揃えているため、あらゆる現場の要件に対応可能です。限られたスペースには薄型コンパクトモデルを、作業現場での即時確認が必要な場面には大型表示モデルを、といった具合に、用途に応じた最適なサイズを選択できます。



ミニサイズ(H54mm x W34mm x D10mm)
例えるなら…プラスチック製のSDカードケースサイズ


スティックサイズ(H34mm x W90mm x D15mm)
例えるなら…携帯用でやや小さめのホッチキスサイズ

カードサイズ(H55mm x W90mm x D7.7mm)
例えるなら…名刺サイズ



大型液晶サイズ(H55mm x W90mm x D20mm)
例えるなら…ポケットWi-Fiサイズ

2. IP67の防水防塵性能を取得
IP67とは、国際電気標準会議(IEC)による保護等級で、「6」は完全な防塵性能を、「7」は一時的な水没(1m深さ、30分間)にも耐える防水性能を意味します。この高い環境耐性により、多湿環境や水濡れの可能性がある過酷な現場でも安心して使用できるのが大きな魅力です。

3. 最長3年という電池寿命
長期プロジェクトや常時監視が必要な現場でも、メンテナンスや電池交換の手間を大幅に削減できます(機種によって異なる)。

4. 輸出管理や法規制対応
該非判定書やRTCA、製品安全データシート(MSDS)も完備されており、国内外での使用における法規制対応や安全管理がスムーズです。グローバルに事業を展開する企業にとって、このような配慮も選定ポイントの一つとなるでしょう。

5. 創業96年という長い歴史を持つ老舗の測定器メーカー
長年培ってきた技術と経験をもとに、純国産品として設計から製造まで一貫して日本国内で行われており、その確かな品質と信頼性は多くのユーザーから高い評価を受けています。日本のものづくりの精神が息づく製品だからこそ、繊細な測定にも安心して使用できます。

まとめ

最適サイズのデータロガーを選ぶことは、正確な測定結果を得るだけでなく、現場の制約や要求にも適切に対応することを可能にします。正しいサイズのデータロガーを選択することで、効率的かつ正確なデータ収集が可能となり、業務の効率向上につながることでしょう。是非、参考にしていただければ幸いです。

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