MEDIA

メディア

  1. HOME
  2. メディア
  3. 衝撃値と加速度の「G」とは?衝撃の目安について解説
衝撃値と加速度の「G」とは?衝撃の目安について解説

衝撃値と加速度の「G」とは?衝撃の目安について解説

製品の開発や品質管理において、製品が外部から受ける衝撃や振動を把握することは非常に重要です。衝撃や振動は、製品の性能や寿命に影響を与える可能性があるためです。そこで、本コラムでは衝撃と加速度の指標である「G」について解説し、衝撃の目安を紹介します。さらに、衝撃などの外部要因を記録するのに適したデータロガーの選び方についても触れます。製品の信頼性向上や耐久性評価に役立つ情報を、ぜひご一読ください。

目次

衝撃値と加速度の「G」とは

衝撃値と「G」は、材料の強度や耐久性を評価する上で重要な指標です。まず、「G」とは物体が受ける加速度の大きさを表す単位のことです。例えば、自動車が急ブレーキをかけた時の「G」は数G程度になります。私たちが日常的に経験する「G」の値は小さいものの、製品が受ける衝撃は数百Gに及ぶこともあります。一方の衝撃値は、材料がどれだけ衝撃に耐えられるかを示す値です。

 衝撃値を測定するシャルピー衝撃試験では、高い場所から重りを落下させ、試験片に強い衝撃(高い「G」)を与えます。試験片が壊れずに耐えられれば、その材料は高い衝撃値、つまり高い耐久性を持つということになります。
このように、高い「G」を発生させる試験により、材料の高い衝撃値、耐久性が評価されます。製品開発では、想定される衝撃条件を考慮し、適切な衝撃値、耐「G」性能を持つ材料を選ぶ必要があるのです。

衝撃の目安

段ボール箱は輸送中に落下や衝突などの衝撃を受ける可能性があるため、その耐衝撃性能を評価する必要があります。代表的な試験として、落下試験や振動試験などがあげられます。

―落下試験

一定の高さから段ボール箱を自由落下させ、底面に衝撃を与える試験です。試験条件として、落下高さ、段ボール箱の質量、落下面の種類などが設定されます。

―振動試験

振動試験機にて、段ボール箱に振動を与え衝撃を再現する試験です。振動数、加速度、時間などの条件が設定されます。このように、落下や振動による衝撃データから、輸送時に想定される衝撃条件下での段ボール箱の健全性が評価できます。メーカーは、これらの試験データに基づいて、より耐衝撃性に優れた段ボール箱の設計や改良を行っています。

 また、輸送時の振動・衝撃は積載物品の破損や品質劣化を引き起こすため、適切な管理が不可欠です。以下に振動加速度のG値(重力加速度に対する比率)を用いた振動・衝撃レベルの目安を示します。

【振動レベル】
・軽微な振動レベル (0.1G未満)
 一般的な陸上輸送時に見られ、製品の品質にほとんど影響を与えません。

・中程度の振動レベル (0.1G~0.5G)
 荒れた路面を走行するトラックでの振動に相当し、部品の緩みや変形の可能性があります。

・高振動レベル (0.5G~1.0G)
 船舶や航空機での輸送時に発生する振動で、機器の誤動作や製品品質の低下が懸念されます。

【衝撃レベル】
・軽微な衝撃レベル (1G~10G)
 一般的な取り扱い時の落下に相当し、製品によっては破損の可能性があります。

・中程度の衝撃レベル (10G~50G)
 荷役時の積み降ろし作業で発生する衝撃で、部品破損や変形のリスクが高まります。

・高衝撃レベル (50G~100G以上)
 輸送時の落下や衝突事故など、非常に強い衝撃が発生し、製品が致命的に破損する可能性が極めて高いです。

振動・衝撃レベルはG値に応じて段階的に管理することが重要です。適切な緩衝材の使用や製品の補強など、輸送環境に合わせた対策を講じることが求められます。

衝撃など外部からの影響の記録におすすめのデータロガー

外部環境からの振動や衝撃を記録するには、加速度センサー内蔵のデータロガーが最適です。これらのセンサーは物体の動きや衝撃を高精度に検知し、そのデータをデータロガーに記録・保存します。

以下のようなデータロガーが特におすすめです。

―小型・軽量タイプ

数センチから10センチ程度の小型サイズ。製品や輸送箱に取り付けて使用。単3電池で長期間駆動が可能。振動や衝撃の計測・記録ができる。

―多チャンネルタイプ

1台で3軸方向の加速度を同時に計測可能。温度などの環境データも記録。

―無線式タイプ

無線でPCやクラウドにデータを転送可能。離れた場所からのリアルタイム監視が可能。輸送中の製品の動きの追跡や地震計としての利用もできる。

―超小型タイプ

製品内部に組み込んで使える小型モデル。microSDカードにデータを記録。長期間の連続計測や、外部環境からの完全遮蔽が可能。用途に応じて様々なデータロガーを選ぶことができます。例えば、製品輸送時の振動チェックに使用することで、確実な品質管理に役立ちます。

まとめ

株式会社藤田電機製作所の「WATCHLOGGER」は、振動や衝撃、落下など外部からの影響を3軸加速度センサー(X・Y・Z軸)で記録します。具体的には、「どのくらいの衝撃(数値)」が「いつ(年月日と時間)」「どの方向から(横、縦、奥行や前後)」加わったかを「3~125G」の範囲で把握できます。また、機種によっては温度(-40℃〜+80℃)や湿度(0〜99%)も同時に記録可能です。データはNFC(近距離通信)やUSBを使って、専用ソフトウェアを介して簡単にパソコンに転送できます。転送後、即座にグラフ表示や印刷が可能です。



 これにより、製品の輸送や保管中に発生した衝撃や環境条件の影響を正確に把握し、品質管理やトラブルシューティングに役立てることができます。さらに、温度や湿度のデータも取得できるため、製品の耐久性や品質評価にも重要な情報を提供します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事