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倉庫の温度管理を「見える化」するデータロガー活用術

倉庫の温度管理を「見える化」するデータロガー活用術

「温度の変化くらい大丈夫」と思っていませんか?倉庫の温度管理は、製品の品質や従業員の安全、企業の信頼に直結する重要な要素です。不適切な温度管理は、食品や医薬品の劣化、電子機器の故障、カビや錆の発生など、様々なリスクを引き起こします。しかし、倉庫の温度は外気や設備の影響を受けやすく、管理は容易ではありません。そこで有効なのがデータロガーです。24時間の自動計測により、温度の変化を「見える化」し、品質維持やコスト削減に貢献します。本記事では、データロガーを活用した温度管理のメリットや導入方法を詳しく解説します。倉庫管理の効率化に、ぜひお役立てください。

目次

なぜ倉庫の温度管理が重要なのか?

倉庫における温度管理は、単に「快適な空間を保つ」というレベルを超え、製品の品質、従業員の安全、そして企業の信頼に直結する重要な要素です。温度が適切に管理されていない倉庫では、以下のような問題が発生する可能性があります。

–製品の品質劣化

食品、医薬品、電子機器など、温度変化に非常に敏感な製品では、わずかな温度の逸脱でも品質が著しく損なわれる可能性があります。温度管理の重要性を十分認識し、適切な環境下での保管を行うことが不可欠です。

1. 食品
温度管理が不十分な場合、細菌の繁殖や食品の変質が進み、食中毒のリスクが高まります。また、食品の鮮度や風味が損なわれ、商品価値が低下します。

2. 医薬品
特定の温度範囲で保管されることが義務付けられています。温度逸脱は、医薬品の有効成分を変化させ、効果を低下させたり、副作用を引き起こしたりする可能性があります。

3. 電子機器
温度変化によって部品が劣化したり、故障したりすることがあります。特に、高温多湿な環境では、電子機器の寿命が著しく短くなることが多いです。

–湿気によるカビ・錆の発生

温度管理が不十分な倉庫では、湿気がこもりやすく、カビや錆が発生しやすい環境になります。湿気がたまると、倉庫内の空気中の水蒸気が凝縮しやすくなり、そこからカビの繁殖が促進されます。同時に、湿気の影響で金属部品がサビや腐食しやすくなるため、保管している在庫や機器の劣化が進んでしまう可能性が高まるでしょう。

1. カビ
カビは、製品の見た目を損なうだけでなく、アレルギーや呼吸器疾患の原因となることがあります。特に、紙製品や繊維製品はカビが発生しやすく、注意が必要です。

2. 錆(さび)
金属製品は、湿気の多い環境に置かれると錆びやすく、製品の耐久性が低下します。錆は、製品の機能性を損なうだけでなく、見た目を悪くし、商品価値を低下させます。

倉庫内の温度管理が難しい理由

倉庫内の温度管理は多くの要因が複雑に絡み合うため困難を極めます。まず、倉庫施設は断熱性能が十分でないため、外気温の影響を直接受けやすい構造になっています。夏季の猛暑や冬季の厳寒時には、建物自体が外部環境の影響を受け、内部温度の維持が難しくなります。

 維持が難しいとエリアごとに著しい温度ムラが発生します。特に天井付近は暖かい空気が滞留しやすく、壁際や床付近は外気の影響を受けやすいため温度差が生じます。出入口周辺は頻繁な開閉により外気が流入し、安定した温度環境の維持を妨げています。これは私たちの日常生活でもよくあるケースではないでしょうか。

 特に問題なのは、このような温度変動を一時的な測定では正確に把握できないことです。短時間の測定では日内変動や突発的な温度変化を見逃してしまい、実際の温度環境を正確に評価することができません。結果として、適切な温度管理のための対策が立てにくくなっています。

温度管理が適切に行われると得られるメリット

倉庫内の温度管理を適切に行うことで、最も基本的なメリットは製品の品質保持です。これにより廃棄ロスや返品対応といった無駄なコストを削減できるのです。

1. 食品
温度管理が鮮度を左右し、商品の賞味期限や風味に直接影響します。

2. 電子部品や精密機器
適切な温度環境を維持することで結露による腐食や熱による変形などのトラブルを未然に防止できます。

 適切な温度管理は直接的なコスト削減にもつながります。多くの倉庫では、エネルギー消費の大部分を空調設備が占めています。温度分布を正確に把握し、必要な場所に必要な冷暖房を効率的に行うことで、電気代の大幅な削減が可能となります。

 また、温度管理データは品質管理システムにおける重要な証拠として活用できます。ISO9001などの品質マネジメントシステムやHACCPなどの食品安全管理システムでは、保管環境の適切な管理と記録が求められています。継続的で正確な温度データを保持することで、監査時の証拠として活用でき、認証維持や取引先からの信頼獲得に貢献し、企業評価の向上にも直結するのです。

効果的な温度管理の方法とは?

倉庫内での効果的な温度管理を実現するためには、適切な測定アプローチと環境改善措置の組み合わせが好ましいです。温度変化を把握する方法として、定期的な測定と継続的な監視という二つの選択肢がありますが、理想的なのは明らかに継続的な監視システムです。定期測定では、測定と測定の間に発生する温度変動を見逃してしまう可能性が高く、特に夜間や休日の状況を把握することが困難です。一方、継続的な監視システムを導入することで、リアルタイムでのデータ収集が可能となり、異常な温度変化にも即座に対応できるようになります。

 倉庫内の温度ムラを減らすための対策も重要な要素です。換気システムの見直しや.遮熱シートの活用など、エリアごとの特性に合わせた対策を講じることで、倉庫全体の温度環境を均一化できます。

データロガーを活用した温度管理のすすめ

現代の倉庫管理において、データロガーの活用は温度管理の課題を解決する理想的な選択肢となっています。データロガーを設置すれば、人手を介さずに24時間365日、倉庫内の温度を自動的に記録することが可能です。従来の人手による温度測定には複数の課題が存在しました。まず、測定作業自体が大きな労力を要し、特に広大な倉庫では複数地点の測定に相当な時間を要します。さらに、測定したデータを手作業で記録・分析する過程でもヒューマンエラーが発生しやすく、信頼性の高い温度管理を実現するのが困難です。これらの課題を解決するのがデータロガーです。



 データロガーの最大の利点は、継続的なデータ収集によって温度変動の傾向を詳細に分析できることです。時間帯や季節による変動パターン、作業状況と温度変化の関係性などを可視化することで、空調設備の運転スケジュールの最適化や、温度ムラが発生しやすい時間帯の特定が可能になります。これらの知見に基づいて対策を講じることで、より効率的で効果的な温度管理体制を構築できます。



 株式会社藤田電機製作所の”WATCH LOGGER”は温度マッピング機能が無料でソフトウェアに組み込まれているので、複数台ロガーを用意すれば簡単に一覧表を作成できます。(参考:「部屋」「倉庫」「トラック」「冷蔵・冷凍庫」内の温度分布特性を知りたい


 
 データロガーによって記録された温度データは、監査や品質管理の証明資料としても極めて価値があります。例えば、HACCPやISOなどの認証監査において、温度管理の履歴を提示する必要がある場合、データロガーの記録は客観的かつ信頼性の高い証拠となります。また、取引先からの品質保証に関する問い合わせに対しても、具体的なデータに基づいた回答が可能になります。(参考:「HACCP(ハサップ)に適したデータロガーの紹介」

 このように、データロガーを活用した温度管理は、単なる記録装置としてだけでなく、倉庫運営の効率化、製品品質の向上、コスト削減、そして企業価値の向上にまで広がる多大なメリットをもたらします。

まとめ

見えない温度の変化を可視化することは、技術を向上させるだけでなく、企業の信頼性と競争力を高める重要な戦略です。安全な倉庫環境の整備は、従業員の満足度向上や製品の品質確保、持続可能な経営の基盤となります。温度管理の最適化を通じて、企業価値の向上と社会的責任の果たし方を両立させることが、データロガーの価値なのです。

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