セイノーロジックス株式会社 様
デジタルであらゆる貨物の海上輸送をトータルサポート
セイノーロジックス株式会社は、日本における海上混載輸送のパイオニアとして長年に渡り活動しており、幅広いサービスを展開しています。一般品混載のほかにも危険品混載や冷蔵・冷凍混載、地方港輸出混載など多様なサービスを提供しています。
海上混載輸送のリーディングカンパニーとして高い評価を受けているセイノーロジックス様がWATCH LOGGERを使用する理由とは。
インタビューに応じてくださったのは、横浜みなとみらい本社・VOTAINER部執行役員の今井啓裕さん。
近年、力を入れている半導体関連の海上輸送についてもお話を伺いました。
セイノーロジックス様がどのような会社か教えてください。
弊社はカンガルー便で有名なセイノーホールディングスのグループ会社でありまして、その中で、海上混載輸送を行っている会社です。
欧米向けの海上混載輸送では一番のシェアを持っており、危険物の輸送や食品の冷蔵・冷凍輸送など他社様ではあまり提供されないようなニッチなところにもチャレンジしています。
そもそも混載輸送とはどういうものなのでしょうか。
海上小口混載輸送(LCL)と言いまして、複数の異なる荷主様や荷受人様の小口貨物を1つのコンテナに集約し、日本と海外とを結ぶグローバルな輸送ネットワークサービスです。
我々が船を持っているのではなく、船会社様からコンテナを仕入れまして、スペースを切り売りしているので、お客様はコンテナを手配する必要もなく、安価で輸送することができます。
小さな貨物も安価で世界中に送れるのは魅力ですね。
陸上輸送や航空輸送は、日々の生活の中で目に触れる機会が多いのでイメージできますが海上輸送については知らないことが多いです。
海上輸送は一度に大量の輸送が可能であり、他の運輸手段と比べて輸送コストが比較的低いというメリットがあります。日本は主要5大港である「東京港、横浜港、名古屋港、大阪港及び神戸港」から、世界の主要港をゲートウェイとして世界中350ヵ所以上の都市へ荷物を輸送します。
それだけ拠点があると課題もありそうです。
ええ、たとえば2023年には年末から世界の2大運河が同時に運航の制限が生じ、パナマの運航が制限された際にはスエズを提案したり、スエズに安全上の懸念から喜望峰廻りになった際には、海上輸送と航空輸送を組み合わせたカナダ経由欧州向けのSEA&AIRというルートをご用意しました。「A→B」のルートだけでなく 「A→C→B」とCを経由することで輸送ができるなど、そういった提案も得意としています。
代替案やリスク管理など、これは長年培った海上輸送の経験が成せるものだと思います。
「危険物の混載サービス」というのもあるんですね。
実は輸送業界で一番最初にこのサービスをはじめたのが弊社です。
輸送危険物は(国際連合危険物輸送勧告に基づき)クラス1から9まで分かれているのですが、クラス3「引火性液体」、クラス6「毒物」、クラス8「腐食性物質」、クラス9「その他」においては、混載の積み合わせが可能なので、これを強みに業界を開拓してきました。
今は電子機器やEVの世界的な普及によってリチウムイオン電池などの危険品貨物の需要が増えていることを実感しており、お役立ち資料や危険品実績判定ページをHPに掲載して利便性向上を図っています。
危険物を運ぶのは様々な課題や問題があって難しそうです。
そうですね。何回もテストを重ねて知見を高めていくことが重要です。繰り返し行うことで徐々に成果を上げることができますし、新たな発見や理解を得ることもありますからね。
混載輸送で一番多く運ばれる荷物はなんですか?
長年、自動車系のパーツが多いですね。日本の自動車部品メーカーはグローバル市場に積極的に参入しているなというのを肌で感じます。
日本の自動車産業は世界的に高い評価を受けていますからね。他にもありますか?
そうですね。食品は通年で安定していますが、最近ではお肉やお魚など-20℃で冷凍食品を輸送する「ばりひえ混載サービス」などもあります。
サービス開始当初から日本酒の需要が高く今も伸び続けています。
どのようなサービスなのですか?
リーファーコンテナを使用して+5℃で温度管理が必要な日本酒やワインまたはお醤油、お味噌など品質を保ちながら輸送を行うサービスです。弊社の専門ページも閲覧回数が10万回を超えています。日本でお酒を売るには免許が必要で色々と難しいのですが、海外では比較的、簡単に販売許可を政府が認可しているので輸出も活発です。
日本の食品は世界各国で評価されていますので、今後も需要が伸びるのではないでしょうか。
WATCH LOGGERを使用することになったきっかけを教えて下さい。
2020年に国土交通省様の公募から、振動・衝撃データロガーを使用したロシアのシベリア鉄道による欧州向け輸送実験を行いました。
ただ、ロガーの指定は無かったのでGoogleで検索したら外資系の製品が多く、販売店様に問い合わせたところ、取り寄せになるので納品まで日にちが掛かりますというケースが殆どでした。省庁からの依頼でしたので、輸送中に記録が停止するトラブルはなるべく回避したいと思い、メイドインジャパンの製品を探したら藤田電機様の衝撃データロガーが検索結果の一番上に表示されました。
ここでも"日本製"が関係してくるのですね。
デモ機の無料レンタルサービスは利用されましたか。
いえ、これは直ぐに購入しました。リチウムコイン電池を採用されているということで、輸出手続きに手間が掛からないのも決め手になりました。鉄道輸送は衝撃があるのかないのかも分からなかったので、比較対象として同じタイミングで出航する船便の荷物にもロガーを取り付けました。
その際、何か気になることはありましたか。
衝撃のしきい値をいくつに設定するのか少し悩みました。使い始めは3Gにしてテストを行うと衝撃値を拾い過ぎてしまってデータの見方に悩みましたが、その後は徐々にしきい値を上げていき、最適な値を見極めることができました。
それ以外はとても簡単で、データロガーとパソコンを繋げるUSBケーブルや電池蓋を開けるマイナスドライバーもオールインワンパッケージされていたので非常にやりやすかったです。念のため新品の電池は購入しました。それでも数百円です。ソフトウェアのUIも分かりやすく、こんなこと言うとアレかもしれませんがマニュアルはほぼ、見ていないですね(笑)
ありがとうございます。マニュアルを見ないで使えるのが一番ですからね(笑)
輸送データが記録されているのか不安でしたが、結果的に二つとも問題なく、シベリア鉄道のレポートを国土交通省様に提出いたしました。
それは良かったです。実際に使用してみて、輸送時の「温度・湿度・衝撃」データの重要性はどう思われましたか?
混載輸送はどこに貨物が積まれるのかその都度、異なりますので荷物がどのような温度・湿度の中で運ばれているのか、荷物への衝撃はあったのかないのか、これはお客様も知りたい情報だと思うんですよね。
先ほどお話させていただいたお酒の冷蔵混載サービスで、到着時にお客様へ温度データもお渡しすれば、日本から徹底した温度管理で丁寧に運んできてくれたお酒だという付加価値も付きますし、それが信頼にも繋がると思います。
確かに販売店さんがその辺もアピールできますね。
今後、新たな貨物輸送の取り組みやサービス拡充の予定はありますか。
現在、半導体関連の輸送に力を入れております。
デジタル化が進み、半導体はあらゆる製品やサービスの基盤となっており日本政府も生産や工場誘致に力を入れていますよね。
九州の熊本県にも台湾のTSMC様が進出しています。
ええ。弊社が半導体のコアを輸送するのではなく、それに付随する製品や材料などを海上輸送で運べるのではないかと考えています。飛行機より輸送費が安価で輸送品質の条件をクリアしていれば、船便も選択肢に入るのではないか。
その品質管理の一部分を担うのがWATCH LOGGERであり、半導体関連ですと輸送時の衝撃値はお客様が一番知りたいデータですよね。
WATCH LOGGERで記録した温度・湿度・衝撃の測定データと混載便をセットにしてご提供するサービスも真剣に検討したいです。
衝撃をいかに軽減できるか、アルミ板やハンドリフト、専用トラックなど半導体輸送の専用機材も導入されていると聞きます。
まずは2023年の6月に九州地区での集荷強化に向けて、福岡市に九州営業所を開設したので、半導体関連はもちろんのことアジア向けサービスの充実や地方港サービスの増設など、混載輸送のネットワークを拡充していく方針です。北海道にも苫小牧から混載サービスがあるので注力しています。
輸送と言えば、物流・運送業界の「2024年問題」もありますよね。
ええ。様々な解決策を事業主の方が考えていると思います。
弊社は北海道から九州までの地方港を網羅しておりますので、地方港混載サービスを対外的にアピールしている最中です。
荷物を地方港まで運び、そこから混載輸送で送れば輸送費のコストカットになりますね。ドライバーの時間外労働が制限され、走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると言われていますから、配送ルートの見直しなどが求められるでしょう。
これを機に、お客様にとって新たな輸送インフラとして選択肢のひとつにお役立ていただけると嬉しいです。
今後、御社は混載輸送にどう向き合っていくのでしょうか。
セイノーロジックスは海上混載一筋で成長を続けてきた会社です。
混載輸送にこだわり、突き詰め、しっかりとお客様の需要に沿ってサービスを作り、37年が経過しました。3年前にイノベーション推進部を立ち上げ、新たな価値の創造を目指し、時代と共に変化する輸送業界の中でお客様に選んでいただくには何が必要なのか追求しています。
日本における海上混載輸送のパイオニアとして、この業界をリードしてきた自負もありますし、今後も成長と挑戦を続けていきたいですね。
本日は貴重なお話ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
セイノーロジックス株式会社 様で使用しているWATCH LOGGERはこちら。
温度・衝撃データロガー 「KT-195U/GX」
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