測定停止!動作不能!原因不明データロガートラブル解決策
データロガーを使用する際に「原因不明のトラブル」に遭遇したことはありませんか?
データロガーは重要なデータを収集し、分析に利用されるため、正確な動作が求められます。しかし、データロガーが意図した通りに動かない、データが読み込まれないといったトラブルが発生した場合、どうすればいいのか分かりません。本記事では、データロガーのトラブル事例とその解決策について詳しく解説します。データロガーの導入や運用において生じる問題を最小限に抑え、円滑なデータ収集を実現しましょう。
データロガートラブルの原因とは?
―データロガーの不具合によるトラブル
データロガーは、温度や湿度などのさまざまなパラメータを計測し、重要なデータを記録するため、正確な動作が求められます。しかし、時には"電源をオフにできない、データの取り込みができない、LAN接続ができない"などの問題が発生することがあります。これらの不具合は、さまざまな原因によって引き起こされます。
不具合が発生した場合、まずは取扱説明書や製造元のサポート情報・ホームページのよくある質問などを参考に、問題の解決方法を探ることが重要です。特に多いのが、動作は問題ないが製品寿命を超えて使用し続けているパターンです。データロガーは電子記録計、測定器ですので一般的な寿命は約3~5年です(機種・メーカーによって異なる)メンテナンスや校正を行っていない場合、それほどの年月が経てば測定精度は確実に劣化しています。改めて使用開始時期を確認しましょう。
―ユーザーの操作ミスによるトラブル
操作方法や設定に不慣れなユーザーが使用する場合、誤った操作や設定ミスが発生し、正確なデータの収集や解析が妨げられます。例えば、データロガーの記録装置やメモリの容量を正しく管理しないと、データの保存ができなくなったり、既存のデータが上書きされてしまうリスクもあります。データの取り込みや解析方法についても、ユーザー自身が不慣れである場合は、正確な結果を得ることが難しくなります。
以上のような操作ミスによるトラブルを防ぐためには、データロガーの取扱説明書を丁寧に読み、操作方法や設定手順を理解することが重要です。最近は動画などでも分かりやすく解説しているサイトもあるので「〇〇したつもり」のケアレスミスを無くしましょう。
―環境要因によるトラブル
環境要因によるトラブルは、温度変動、湿度、圧力の変化、照度の影響、加速度や振動など、さまざまな要素によって引き起こされる可能性があります。
・極端な温度変動によってデータロガーの動作が不安定になる
データロガーは、環境温度や湿度の変化を正確に監視し、データを記録するために設計された装置です。
しかし、温度が急激に上昇したり下降したりする場合、センサーや電子部品に負荷がかかり、その結果、正確なデータの取得が困難になることがあります。特に、極端な温度変動が頻繁に発生する環境では、データロガーの信頼性や精度が低下する可能性が高くなります。
・高湿度の環境でコンデンセーションが発生し、内部の電子部品に損傷の可能性
高湿度環境では空気中の水蒸気が冷えて凝結し、水滴としてデータロガーの内部に付着することがあります。これが電子部品に浸入すると、絶縁体の効果が低下し、短絡や故障の原因となります。特に結露環境には気を付けましょう。
・高圧や低圧の環境下でデータロガーが正確な計測を行えなくなる
高圧下では、データロガーのセンサーや計測器に過剰な負荷がかかり、正確な計測ができなくなることがあります。一方、低圧下では、データロガー内部の電子部品が適切に動作せず、データの誤差が生じることがあります。高圧や低圧の環境下では環境条件に適した特殊なデータロガーを使用することも検討しましょう。
・外部からの加速度や振動によってデータロガーが誤動作する
ロガー本体を”落とした・ぶつけた”場合は一見、外観に問題なさそうでも内部基盤等に影響を及ぼしている可能性があります。改めて現場や周りの人間に確認を取りましょう。
これらの環境要因によるトラブルは、データの正確性や信頼性を損ねるだけでなく、結果的には重要な情報の欠落や誤った判断を招きます。そのため、データロガーの設置場所や使われる環境には注意が必要であり、適切な保護策や対策を講じることが重要です。
データロガートラブルの解決策
―基本的なトラブルシューティング手順
トラブルシューティング手順の基本的な考え方は、「最も単純かつ頻繁に発生する原因から可能性を排除していく」という消去法のアプローチです。したがって、例えば「データロガーが正常に機能しない」というトラブルに対しては、最初に「電源が入っているか?」「接続が正しく行われているか?」といった基本的な点を確認します。最もシンプルであり、発生可能性が高い箇所からチェックを進めながら、現状を把握していくことが重要です。このようにステップバイステップでトラブルの原因を特定していくことが、トラブルシューティング手順の目的です。
―ソフトウェアのアップデートとファームウェアの更新
データロガーの正常な動作とデータの正確性を保つために、ソフトウェアのアップデートとファームウェアの更新が重要です。ソフトウェアのアップデートは、新機能やバグ修正などの改善点を反映させるために行われます。これにより、より使いやすく安定した環境でデータロガーを操作することができます。
また、ファームウェアの更新も重要です。ファームウェアはデータロガーのハードウェアを制御するためのソフトウェアであり、不具合やセキュリティリスクの修正、パフォーマンスの向上などが行われます。データロガーのファームウェアが最新版でない場合、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。お問合せをする前にソフトウェアやドライバーのバージョンが最新版になっているのかを必ず確認してください。
データロガーのトラブル事例とその対処法
―データロガーが正常に起動しない場合の対処法
まずは以下の対処法を試してみましょう。
・電池寿命の確認
特に低温や高温の環境下では、電池の寿命が通常の状況よりも早くなる可能性があるため、注意が必要です。データロガーの液晶画面に電池寿命警告マークが表示されていなくても、低温の環境では通信ができなくなる可能性がありますので、電池の寿命を確認することは重要です。
筒状・リチウム電池を使用するデータロガーは電池交換の際、ロガーを空の状態にして約5~10分、内部の電気を放電させることが重要です。放電を行うことで、電池の実際の容量を正確に評価できます。直ぐに交換を行うと、新しい電池が本来持つべき性能を発揮できず、装置の動作が不安定になる可能性があります。
・データロガーのファームウェアが最新のものであるかを確認
最新のバージョンにアップデートする必要がある場合は、メーカーの公式ウェブサイトからダウンロードしてインストールします。
法人の場合、セキュリティ環境の関係でダウンロードが難しい場合があります。
その時は、社内のシステム課に問い合わせましょう。またはスタンドアロンのパソコンを用意してください。
・データロガーの容量が十分であるかも確認
必要に応じて空き容量を確保する必要があります。データロガーに保存されたデータが一杯になっている場合、新たなデータを収集することができず、正常に起動しない可能性があります。そのため、データロガーの容量を確認し、必要に応じてデータを削除します。データを削除する際は、重要なデータを誤って削除しないように注意が必要です。
・データロガーが正しく設定されているかを確認
必要な設定を適切に行います。一部のデータロガーでは、特定の条件下でのみ起動するように設定することもありますので、そのような場合は設定を見直してみてください。
・データロガーを使用するパソコン周りのセキュリティ環境を確認
データロガーは、ネットワークやシステムとの連携を行うため、セキュリティ設定に影響を受けることがあります。まずは、ファイアウォールやウイルス対策ソフトウェアがデータロガーの通信を遮断していないか、またはデータロガーが信頼されたアプリケーションとして設定されているかを確認します。
データロガーの効果的な運用方法
―適切な設置場所の選定
測定したい環境の特性や目的に基づいて、最適な場所を選ぶ必要があります。設置場所の決定には、測定対象の特性だけでなく、データロガー自体の仕様や制約も考慮する必要があります。
部屋の温度を測定したい場合、「出入口」「窓際」「部屋の高い場所」「部屋の低い場所」どこにデータロガーを置くことにより温度・湿度に変化が生じます。無線通信機能を持つデータロガーの場合は、通信範囲や障害物の影響も考慮します。適切な設置場所を選ぶことで、データの質が向上し、効果的な測定や分析が可能となります。適切な設置場所を選ぶことで、データの質が向上し、効果的な測定や分析が可能となります。
―定期的なメンテナンスと校正
データロガーの定期的なメンテナンスと校正は、測定器の正確性と信頼性を保つために極めて重要なプロセスであり、品質管理や安全性確保において大きな意味を持っています。データロガーは、測定結果を提供する際にセンサーや機械部品を使用しており、これらの部品は使用環境や時間の経過によって劣化し、精度が低下する可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスと校正が必要となります。
メンテナンスでは、データロガーの動作確認や清掃、交換が必要な部品の点検などが行われます。一方、校正では、データロガーが正確な測定結果を提供できるかどうかを確認し、必要に応じて修正や調整が行われます。校正は、データロガーの信頼性と測定結果の正確性を保証するために欠かせない作業であり、特に品質管理や安全性確保の観点からは非常に重要です。校正を怠ると、データロガーの測定結果が正確でなくなり、品質や安全性に影響を及ぼす可能性があります。そのため、データロガーの定期的なメンテナンスと校正を行うことは、データロガーの寿命を延ばし、コスト効率を改善することにもつながります。
―データロガーのデータバックアップの重要性
データロガーは、さまざまな環境で大量のデータを収集し、保存するための重要なツールであり、そのデータは企業の意思決定やパフォーマンス評価に不可欠な情報源となっています。しかし、データは壊れたり、コンピューターの故障やハッキングなどの理由で消失するリスクがあるため、定期的なバックアップは必須です。バックアップを行うことで、データの損失や破損から企業を守ることができます。また、バックアップは復元の手段としても重要であり、万が一のトラブルや災害が発生した場合でも、バックアップからデータを容易に復元することができます。データロガーのデータバックアップは、企業においてデータの損失や漏洩のリスクを最小限に抑えるために、徹底的に実施されるべきです。
データロガートラブルを未然に防ぐために
―品質の高いデータロガーの選定
データロガーの種類と特徴を理解し、自身の計測ニーズに合った機器を選ぶことが重要です。チャンネル数の拡張性やコスト、機能性などを比較検討し、最適なデータロガーを見つけることが求められます。また、精度とサンプリング速度も重要な要素であり、計測対象に応じて適切な精度と速度を持ったデータロガーを選ぶことが必要です。さらに、操作性やPC連携、収集後の作業効率も考慮すべきポイントであり、使いやすさやデータ解析のスムーズさを検討することが重要でしょう。
株式会社藤田電機製作所の「WATCH LOGGER」は使用環境に合わせて選べるさまざまな形状のデータロガーです。「スティック型」は、コンパクトで持ち運びに便利なため、フィールドワークや移動時に最適です。また、「カード(名刺サイズ)型」と呼ばれる形状は、奥行が7.7mmと薄く、ディスクリートな設置が可能で、見た目にもスマートな印象を与えます。例えば、景観を損ねたくない美術品や博物館は狭いスペースに収まる小型のデータロガーが適しています。このように、使用する場所や目的によって最適な選択ができます。
また、さまざまな測定環境やシーンに合わせて柔軟に利用でき、温度・湿度環境や、マイナス80℃のような超低温環境でも使用可能であり、医薬品や検体、ワクチン、食品などの冷蔵庫や冷凍庫の管理に最適です。製品や材料が運搬中にどれだけの衝撃を受け、温湿度の変化が起きたのか、温度・湿度を同時に記録しながら衝撃も計測可能です。さまざまな業種や現場で活用されており、実際の現場で多くの事例が報告されている使い方や効果があります。測定環境やシーンに応じて適切な機能を提供することで、効率的なデータ収集と管理をサポートします。
まとめ
―データロガーのトラブルによる影響とリスク
データの正確性と信頼性が損なわれることによって、重要な意思決定や品質管理に大きな影響が及ぶことが考えられます。もしデータの取得や保存に問題が生じた場合、正確なデータを得ることができず、結果として誤った分析や予測が行われる可能性があります。
原因不明のデータロガートラブルは、製品寿命、使用方法、ケアレスミスによって引き起こされるケースが殆どです。もちろん、初期不良・製品不良もありますが、まずはこの記事を参考に一つずつ項目を確認しましょう。トラブルが発生した場合には、迅速かつ適切な対応を行うことが必要です。