アルコールチェック義務化とは?概要や義務化までに準備するべきことについて解説
アルコール
チェッカー
FA-900
- 白ナンバー事業者の飲酒検査義務化に対応
- 5秒間吹き込むだけのかんたん測定
目次
警視庁は2023年6月、いわゆる「白ナンバー」の車を使う事業者に対して、アルコール検知器を使ったドライバーの飲酒検査の義務化を12月1日からスタートする方針を明らかにしました。
当初は、2022年10月からの開始を予定していた取り組みでしたが、世界的な半導体不足の影響により、アルコール検知器の調達が間に合わないことから延期されてきました。
義務化の開始まで半年を切った今、準備を急ぐ必要があるでしょう。
本コラムでは、アルコールチェック義務化についての詳細や対策についてご紹介いたします。
アルコールチェック義務化とは
アルコールチェック義務化とは、国土交通省が飲酒運転による交通事故の発生を防止するために、運送事業者に対して運転者の酒気帯びの有無を、アルコールチェッカーを用いて行うことを義務付けたものです。
いわゆる「緑ナンバー」の車両については、すでに2011年5月1日より義務化が実施されており、2022年4月に改正された同法で「白ナンバー」の車両も対象となりました。その義務化が、冒頭でお伝えした通り2023年12月1日に迫っています。
緑ナンバー・白ナンバーとは
緑ナンバーとは、運賃をもらって貨物・旅客を運ぶ車両に取り付けられたナンバープレートのことです。転じて、そのナンバープレートを付けた車両そのものや、これを運営する事業者を指すことも多いです。
一方、白ナンバーとは、運送業者ではないマイカーなどに付けられたナンバープレートのことです。ただ、緑ナンバーに対して、無償で自社の貨物・旅客を運搬する事業者の車両を指すことが多いです。
アルコールチェック義務の対象が拡大された背景
ここまでにお伝えしてきたように、アルコールチェック義務の対象は、緑ナンバーの車両だけであったところから、白ナンバーの車両に拡大されました。
その背景には、白ナンバー車両の酒気帯び運転による死亡事故があります。
2021年6月28日、八街市道12016号線で下校中だった小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、2人が死亡し、3人が負傷しました。事故後、運転手の男の呼気からは基準値を超えるアルコールが検出され、事故当時は居眠り状態だったとされています。
このトラックは白ナンバー車両であったため、アルコールチェック義務の対象から外れていました。そこで、このような痛ましい事故が二度と起きないようにと、白ナンバー車両にもアルコールチェック義務の適用が拡大されたのです。
アルコールチェック義務化の対象企業
白ナンバーの車両へもアルコールチェック義務が拡大するとはいっても、当然ながら、マイカーなどの一般車を含むすべての白ナンバーを対象とするわけではありません。
では、どのような白ナンバー車両がアルコールチェック義務化の対象となるのでしょうか?実は、車両単位ではなく、白ナンバーの事業車を持つ企業単位で定められています。
白ナンバー車両のアルコールチェック義務化の対象となるのは、以下2点のどちらかに当てはまる事業所を有する企業です。
・乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持する事業所
・白ナンバー車5台以上を保持する事業所
※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算。
上記の条件を満たす企業であれば、業種に関係なく義務が課せられます。
法改正によるアルコールチェック義務化の内容
では、上記のような企業に対して、具体的にどのようなアルコールチェックが義務化されるのでしょうか?
2021年11月10日に公布された「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」で予定されていた2段階のタイミングそれぞれの内容を見てみましょう。
2022年4月1日から義務化された内容
・運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
・酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること。
なお、酒気帯びの有無を確認するのは、安全運転管理者となるため、事業所に安全運転管理者を立てる必要があります。
2022年10月1日から義務化される予定だった内容
2022年10月1日から義務化される予定だった内容は、上記2点に加えて、下記2点です。
・運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと。
・アルコール検知器を常時有効に保持すること。
なお、「アルコール検知器を常時有効に保持すること」とは、故障がなくいつでも使用可能な状態であるということです。
冒頭でもお伝えしたように、これらは当初、2022年10月1日から義務化される予定でしたが、世界的な半導体不足の影響でアルコール検知器の調達が困難になることから延期されてきました。しかし、2023年12月から開始される見込みとなっています。
アルコール検知器の使用義務化はいつから?延期された理由
前項もお伝えしたように、いわゆる緑ナンバーの車両に対してのアルコールチェックの義務化はすでに2011年5月1日から始まっています。
白ナンバーの車両に対する義務化は、2023年12月から開始される見込みですが、本来は2022年10月1日からの開始が予定されていました。
延期された理由は、世界的な半導体不足の影響で、アルコール検知器の調達が間に合わない可能性があったためです。
半導体不足の要因
半導体不足の要因は大きく、2019年の米中貿易摩擦や、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大の2点が挙げられます。需要の拡大と供給のひっ迫が同時に起きたために、世界的に半導体が不足しました。
このため、半導体を利用するマイコンなどが不足し、アルコール検知器の生産がひっ迫したのです。
アルコールチェックのタイミングと方法
白ナンバー車両でも義務化が開始した場合、求められるアルコールチェックのタイミングと方法は、以下の通りです。
アルコールチェックのタイミング
アルコールチェックのタイミングは、運転者が運転を開始する前と後の2回です。
ただ、運転を行う度に行う必要はなく、チェックしやすいタイミングとしては、出勤時・退勤時となるでしょう。
なお、これは、安全運転管理者が直接、対面でチェックを行う場合も、直行直帰などでビデオ通話など非対面で行う場合も同様です。ただし、メールやFAXといった、直接対話ができない方法は認められていません。
もし、安全運転管理者が不在の場合は、副安全運転管理者や、安全運転管理者の業務をサポートする人物が代理で行います。
アルコールチェックの方法
アルコールチェックは、目視とアルコール検知器の2ステップで行います。
目視によるチェック
警察庁のWebサイトによれば、目視によるアルコールチェックとは、運転者の顔色や呼気の臭い、応答の声の調子などを確認することだといいます。
これらは対面の場合はもちろん、非対面であっても画面や音声から飲酒していないかどうかという観点からチェックする必要があります。
アルコール検知器によるチェック
アルコール検知器を用いたアルコールチェックでは、検査を受ける運転者に、直前の飲食を避けてもらい、チェックの前にうがいをしてから測定を行います。
測定の際は、検知器にしっかり強く息を吹きかけてもらいましょう。
非対面の場合も検査の条件は同じです。
アルコールチェック義務を怠った場合の罰則
白ナンバー車両のアルコールチェックが義務化された後も、アルコールチェック義務そのものを怠ったことによる罰則はありません。
ただし、もし酒気帯び運転をしていれば、道路交通法違反となります。酒気帯び運転の罰則は厳しくなってきており、2023年7月現在では、政令に定める程度以上のアルコールを身体に保有して車両等(軽車両を除く。)を運転すれば、酒気帯び運転で3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(法第117条の2の2第1号)に処せられるとされています。
なお、アルコールの保有量は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上、又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上をいいます。
また、令和4(2022)年10月1日から施行の道路交通法の改正で、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則が厳しくなり、5万円以下の罰金であったものが、50万円以下の罰金に引き上げられました。
アルコールチェック義務化に向けて準備するべきこと
白ナンバーの車両を保有し、アルコールチェック義務化の対象となる企業は、義務化が開始される2023年12月1日までに次のような準備を整えておく必要があります。
安全運転管理者・副安全運転管理者を立てる
安全運転管理者は、2023年12月1日からアルコールチェックの義務化対象となる事業所を持つ企業で選任することが道路交通法によって義務付けられており、法律に基づいて白ナンバー車両の安全管理を行う役割を担います。
一方、副安全運転管理者は、定員数に関わらず20台以上の自動車を保有する場合に、20台ごとに1名を選任する必要があり、運行計画の作成や点呼と日常点検、運転者の適性や処分等の把握などを担当します。
また、安全運転管理者が設置されている場合で、安全運転管理者が不在の際に、アルコールチェックを代わりに行う役割も持ちます。
安全運転管理者と副安全運転管理者の資格要件
安全運転管理者や副安全運転管理者は、誰にでも任命できるわけではなく、資格要件が決まっています。
※スライドしてご覧になれます。
安全運転管理者 | 副安全運転管理者 | |
---|---|---|
年齢 | 20歳以上 (ただし、副安全運転管理者を選任する場合は、30歳以上) |
20歳以上 |
運転管理の実務経験 いずれかの一つに該当していること) |
|
|
欠格要件 |
|
なお、安全運転管理者は各企業で1名を設置すれば良いものではなく、事業所単位で1名ずつ必要です。
運転者や安全運転管理者への教育を実施する
会社として、アルコールチェックの義務化に関わる運転者や安全運転管理者に対し、教育を通して意識を高め、知識を身に付けてもらう必要があります。
たとえば、
・アルコールチェックの目的と意義
・アルコールチェックの方法
・飲酒の運転への影響
・飲酒運転の危険性
などをテーマとした研修を開催するなどの方法が考えられます。
警察庁が公開しているパンフレットなども必要に応じて活用しながら、飲酒運転の防止と交通安全の向上につなげましょう。
アルコール検知器を導入する
実際にアルコールチェックに使用するためのアルコール検知器を導入する必要があります。
アルコール検知器協議に加入しているメーカーの認定機器を選ぶと安心です。
なお、アルコール検知器には、大きく分けると「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式(燃料電池式)センサー」の2種類があります。
半導体式ガスセンサー
半導体式ガスセンサータイプでは、「センサーが可燃性ガスにさらされると電気抵抗が変化する」という抵抗値の変化によってアルコールを検知します。
酸素量が多いほど電気抵抗値は高くなり、酒気帯び者の呼気は、アルコール成分によって酸素量が減少するため、電気抵抗値は低くなります。このため、電気抵抗値が低いほど、呼気中のアルコール濃度が高いということになります。
小型で低コスト、反応が速いのがメリットですが、アルコール以外のガスに反応する誤検知もしやすい点がデメリットです。
電気化学式(燃料電池式)センサー
一方、電気化学式(燃料電池式)センサーは、呼気に含まれるアルコール成分を燃料に、電気が発生するという特性を利用したアルコール検知器です。
半導体式ガスセンサーに比べると高コストですが、アルコール以外のガスには比較的、反応しにくいため、誤検知しにくいというメリットがあります。
どちらを選んだとしても、「アルコール検知器を常時有効に保持すること」という要件を満たすために、定期的な保守・点検が重要になります。
アルコールチェックの記録方法を決める
2023年12月1日からスタートする、白ナンバー車両へのアルコールチェック義務化では、アルコールチェックの記録を1年間、保管することも義務付けられています。
アルコールチェックの記録項目
アルコールチェックで記録しなくてはならない項目は、次の8項目です。
・実施日時
・実施者名
・対象者名
・自動車登録番号または識別できる記号や番号
・確認の方法
・酒気帯び運転の有無
・指示事項
・その他、必要な事項
まとめ
延期されてきた白ナンバー車両へのアルコールチェックの義務化が2023年12月からスタートする見込みとなりました。これは、度重なる飲酒運転による悲惨な交通事故を防止するための措置の一環です。
アルコールチェックでは、目視によるチェックに加え、アルコール検知器によるチェックも必須となっています。アルコール検知器を導入して正しく使用し、飲酒運転のない安全な社会を実現しましょう。
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