土木・建築の外気温測定は自動で記録するデータロガー
土木や建設現場において、気温の変動を正確に記録し、把握することは極めて重要です。これまでの手作業による記録では、時間の損失や人為的ミスのリスクがつきものでした。しかしながら、最近ではデータロガーの効果的な活用により、この問題が劇的に克服されています。データロガーは、外気温などの環境データを自動的に記録し、長期間にわたってデータを蓄積できる計測装置です。設置すれば、その後は手をかけることなく、高い精度でデータを収集することが可能となります。さらに、近年ではデータロガーとスマートフォンアプリを連携させた有効な方法も広がっています。アプリを利用すれば、遠隔地からでもデータを確認・収集できます。このように、データロガーはIoT時代の建設業界に最適なツールと言えるでしょう。本コラムでは、このような便利なデータロガーをご紹介いたします。
目次データロガーの重要性
―そもそもデータロガーとは?
データロガーとは、センサーで計測した様々な環境データを自動的に記録し、大容量のメモリに蓄積していく電子機器のことです。データロガー本体には、温度や湿度、衝撃などを計測するセンサーが内蔵または外付けされています。これらのセンサーは、ユーザーが設定した間隔と期間で自動的にデータを計測し、記録します。記録されたデータは、パソコンに転送し、専用の解析ソフトで確認ができます。さらに、データをグラフ化したり、統計処理を行ったりすることも可能です。一部のデータロガーはスマホアプリと連携し、リアルタイムでデータ確認やログの取得ができる機能を備えています。
データロガーの最大の特徴は、「自動計測」と「長期間の連続記録」が可能である点です。これにより、人手で定期的に計測値を記録する必要がなくなり、時間のロスやミスのリスクを最小限に抑えることができます。また、メモリの大容量化により、ひと月や数ヶ月単位での連続記録も簡単に行えるようになりました。計測したい様々な環境データの自動計測と記録が可能です。さらに、小型軽量で設置場所を選ばないため、使い勝手が非常に良いです。
―気温変動の正確な記録
外気温の変動を正確に記録することは、土木・建設現場で非常に重要な意味を持ちます。その理由は大きく3つあります。
1. 作業環境の適切な管理
熱中症リスクの把握や作業員の健康管理のため、現場の気温変化を正確に追跡する必要があります。また、養生中のコンクリートの温度管理にも気温データが不可欠です。
2. 品質と工程の確保
建設資材の施工適正温度を守り、品質を維持するうえで、気温データは必須です。急な気温変動があれば、施工を一時中断したり、養生対策を講じる判断材料となります。
3. 施工記録の正確性向上
工事の施工記録に気温データを含めることで、いつ どのような気温環境下で作業が行われたかを正確に残せます。賞償問題が発生した際の重要な証拠ともなり得ます。
保存されたデータはデジタルデータ(PDFやCSV)として長期保存が可能です。このように、データロガーによって作業環境の管理、品質プロセスの確保、正確な施工記録の残し方が容易になりました。
―時間の損失と人為的ミスのリスクの克服
従来の手作業による外気温測定には、多くの課題が存在しました。最初に、作業員が現場に移動し、温度計を確認し、手書きでデータを記入する必要があります。このタスクを1日に複数回実施することで、相当な時間と手間が掛かりました。限られた人員で建設業務と同時に測定を行うため、データが欠落するリスクも高まります。さらに、人手によるデータ入力では、読み取り時のミスや転記ミスが生じる可能性が常に存在しました。誤った温度データが誤って記録されるおそれがあるのです。
一方、データロガーはセンサーを使用して外気温を自動的に計測し、デジタルデータとして自動的に保存します。作業員が手作業でデータを入力する必要はまったくありません。事前に記録の間隔を設定すれば、自動的に整然とデータが蓄積されます。つまり、データロガーの導入により、これまで膨大な時間とコストを要した温度記録作業から完全に解放されます。このように、データロガーの自動計測・自動記録機能により、これまでの時間的ロスと人的ミスのリスクを完全に解消できます。外気温データの収集精度が大幅に向上するだけでなく、作業員の生産性も飛躍的に高まるのです。
データロガーの機能とメリット
―長期間のデータ蓄積
データロガーの主な特徴の一つは、大容量のメモリを搭載しており、長期間にわたってデータを記録・保存できる能力にあります。これは従来の温湿度計などとは異なり、手動で計測値を書き留める必要がなくなりました。作業者が現場に行って値を記録する手間もなくなり、データの欠落も軽減されました。データロガーを設置すれば、自動的に計測と記録を行ってくれます。大容量のメモリを持つため、長期的なデータの蓄積が可能です。1時間ごとに1年間連続で記録するデータロガーも存在します。膨大なデータ量でも、メモリに連続して記録されます。電池を交換すれば、外気温のデータをほぼ無人で1年間収集できます。こうした長期連続記録は、建設プロジェクトの品質管理に大きく寄与します。
コンクリートの養生温度管理など、工事の重要な環境データを抜かりなく記録し、必要に応じて確認できます。何かトラブルが生じた場合でも、確かな環境データを長期的に残しておくことで、問題の解決に役立つデータロガーのこの長期記録能力は、建設現場の環境管理において、正確な記録の保持とエビデンスの確保を可能にするきわめて重要な機能なのです。
データロガーの進化
―スマートフォンアプリとの連携(遠隔地からのデータ確認・収集)
データロガーの進化の1つとして、近年ではスマートフォンアプリと連携することが一般的になっています。これまでのデータロガーは、記録したデータをパソコンに転送して解析する必要がありました。しかし、スマートフォンアプリと連携可能なデータロガーが登場し、データの活用がより簡単になっています。具体的には、データロガー本体とスマートフォンアプリをBluetoothまたはWi-Fi経由で接続します。接続が完了すると、アプリ上でリアルタイムデータを確認できます。
例えば温湿度データロガーの場合、スマートフォンのアプリ画面に現在の温度と湿度が表示されます。アプリによっては、データがグラフで表示され、推移が視覚的に確認できる機能もあります。さらに、データロガー本体に記録されたデータもアプリから簡単に取り出せるため、データ収集作業がスムーズになります。以前はデータロガーを直接パソコンに接続する必要がありましたが、スマートフォン経由での転送により業務効率が向上しました。アプリを通じて、各種設定の変更や電池残量の確認なども可能です。結果、現場へ赴く手間が減り、よりフットワークの軽い環境管理が実現できるようになっています。
IoT時代の建設業界への貢献
―便利なWATCH LOGGERの活用
株式会社藤田電機製作所の"WATCH LOGGER(ウォッチロガー)"は、土木・建築業界における外気温測定に最適なデータロガーです。その理由を詳しく説明します。まず、WATCH LOGGERは使いやすさとシンプル性に優れています。本体にはボタンがなく、専用のソフトウェアで測定周期の設定(1~255分間隔)、記録の開始/停止操作、データ収集が簡単に行えます。液晶画面も大きく視認性が高く、測定値が一目で分かるよう設計されています。
防水性能も魅力的な点です。WATCH LOGGERはIP67(水深1mに30分浸けても影響を受けない)の防水・防塵性能を備えており、雨や粉塵の影響を受けにくい頑丈な作りです。現場環境の過酷な条件下でも安心して使用できます。
さらに、"スマートフォンアプリ"との連携が外気温測定を格段に便利にしています。iOSとAndroidの両OSに対応したアプリがあります。現場に赴けば、スマートフォンアプリを使ってその場で気温のモニタリングが行えます。グラフ化された測定データをスマホの画面で確認できるので、外気温の経時変化をリアルタイムで視覚的に把握しやすくなります。さらに遠隔地からでも、アプリ上のデータを確認できるだけでなく、電子メールでデータのCSVファイルを自動受信することもできます。本社や他現場にいる関係者と、タイムリーにデータを共有しやすくなっています。
また、長期間の連続記録も忘れてはいけません。数百円のコイン型リチウム電池を採用し、約3年(機種による)の測定が可能であり、電池のランニングコストも抑えることができるのです。このように、WATCH LOGGERはシンプル且つ堅牢な設計、スマートフォンアプリの活用、遠隔でのデータ収集・共有など、外気温測定に求められる機能を余すところなく備えています。土木・建築の現場で大いに活躍できる最適なツールであると言えるでしょう。
まとめ
―データロガーを用いた土木・建築の展望
土木や建築の外気温測定において、データロガーの活用が重要であることが明らかになりました。手作業による記録では時間の損失や人為的ミスのリスクがありましたが、データロガーの登場によりこれらの課題が劇的に解消されました。データロガーは外気温などの環境データを自動的に記録し、長期間にわたってデータを蓄積することができるため、高い精度でデータを収集することが可能です。さらに、データロガーとスマートフォンアプリを連携させることで、遠隔地からでもデータを確認・収集することが可能となります。
このようなIoT時代におけるデータロガーの進化は、建設業界において非常に有益なツールとして活用されています。データロガーの利便性や効果を理解し、建設現場における環境データの管理をより効率的に行うことが重要です。