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数値化したデータロガーで見る室内の熱中症リスク

数値化したデータロガーで見る室内の熱中症リスク

近年、気候変動の影響で夏季の気温が上昇し続ける中、熱中症のリスクはますます高まっています。しかし、多くの人が見落としがちな事実があります。それは、熱中症が屋外だけでなく、室内でも十分に起こりうるという点です。エアコンの普及により、室内は安全だと思い込んでいる人も少なくありません。しかし、実際のデータを見ると、室内環境が想像以上に熱中症のリスクをはらんでいることがわかります。

 本コラムでは、室内における熱中症のリスクを可視化し、その実態に迫ります。そして、データロガーなどの最新技術が、いかにして室内の安全性を高め、熱中症のリスクを軽減できるかについて詳しく解説していきます。

目次

室内熱中症リスクの実態

―温度マッピングで各部屋の温度状況を確認

株式会社藤田電機製作所の"WATCH LOGGER"を用いて温度マッピングを行いました。(ソフトウェアの便利な機能です!)

温度マッピングとは、指定された空間や区域内の温度変化を精密に測定し、そのデータを系統的に収集・解析する方法を指します。7月中旬の昼の時間帯を見ていきましょう。

1. 外気温
令和6年7月の外気温、日なたです。立っているだけで汗が身体中からあふれ出ます。





2. 会社の通路
会社にもよりますが、エアコンは入っていません。ですがエアコンの効いた部屋から冷気が多少漏れているので外よりは涼しいです。





3. 温度管理室
製品保管のために24時間温度管理をしている部屋です。広さは約25平米。設定温度は25℃です。





4. オフィス
複数の人間が働く約300平米の空間です。広さを賄うエアコンの台数が設置されていますが、微妙に暑い。こちらも設定温度は25℃です。



―熱中症の屋内発生

熱中症のリスクは、室内環境が特定の閾値を超えると顕著に高まります。具体的には、室温が28℃を上回ると、熱中症の発生確率が上昇すると考えられています。さらに、湿度も重要な要因となります。特に湿度が65%を超えるような蒸し暑い環境下では、体温調整機能が阻害されやすくなるため、熱中症への警戒レベルを引き上げる必要があります。このような温湿度の組み合わせは、体への熱負荷を増大させ、熱中症の危険性を高めるため、十分な注意が求められます。

―エアコンによる安全性の誤解

多くの人々が、エアコンを使用していれば熱中症のリスクがないと考えがちですが、実際にはエアコンの設定温度が高すぎる場合(28℃以上)には、室内でも熱中症のリスクが残り、特に高齢者や体調が弱い方は、暑さによる体への負荷が大きく、熱中症にかかりやすい傾向にあります。「エアコンの設定温度=室内の温度」ではないことを理解しておきましょう。場合によっては設定温度を下げて室内温度を調整する必要があります。

―データに基づく危険性解説

まとめたデータを見てみましょう。25℃に設定しているにも関わらず、実際は29℃もあります。これは外気温が高すぎるので一見、涼しいように感じますが室内熱中症の危険性があるのです。



エアコンは、室内全体を均一に冷やすことが難しく、吹き出し口から遠く離れた場所や風が行き届きにくいスペースでは、温度が上昇して快適さを損なう可能性があります。さらに、エアコンの冷たい風によって体感温度が低く感じられる場合でも、実際の室温や湿度が高い状態であれば、体の熱負荷が軽減されず、健康への影響が懸念されることがあります。

 そのため、エアコンの使用においては、室内の温度や湿度を適切に管理し、快適な環境を保つことが重要です。特に、エアコンの風が届きにくい場所や不均一な冷却が起こりやすい部屋では、サーキュレーターやスポットクーラーなどの補助的な冷房機器を活用することで、快適な室内環境を確保することができます。これにより、体の熱バランスを整えることができ、より健康的で快適な生活を送ることができるでしょう。

熱中症予防!データロガーの活用方法

―室内環境のモニタリング

表示温度計はそのときだけは分かりますが、室内環境の把握にはデータロガーが便利です。温度や湿度(機種による)を設定した測定周期で自動にロギングしてくれます。そうすれば人がいない時間帯の温度も把握できる優れものの測定器です。

―熱中症リスクの可視化

データロガーを活用することで熱中症リスクを数値化・可視化し、長期的なデータ収集と分析により、事前の対策が立てやすくなります。さらに、収集したデータをグラフや図表で表示し、視覚的に理解しやすくし、設定した閾値を超えた場合に警告を発するアラート機能や、温度と湿度のデータから暑さ指数といわれるWBGT(体と外気との熱のやりとりに与える影響の大きい、「気温」、「湿度」、「日射・放射」、「風」の要素をもとに算出された指標です。)を算出し、正確なリスク評価が可能になります。

熱中症の安全対策と予防法

―データロガーを活用した熱中症リスク軽減のポイント

適切な対策を講じることで、室内熱中症のリスクを軽減し、健康を守りましょう。熱中症予防に向けて、データロガーを活用した情報収集や対策の実施を積極的に行い、安全で快適な生活を送るための努力を続けていくことが大切です。

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