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温度データロガーとは?用途例や選び方について解説

温度データロガーとは?用途例や選び方について解説

温度データロガーとは、温度を計測し記録するための装置のことです。

温度データロガーはさまざまな産業分野で幅広く活用されており、特に運輸・郵便業などの企業では、商品や機材の品質管理や安全性確保に欠かせないツールとして、重要性が高まっています。

ここでは、温度データロガーの基本的な概念から、具体的な用途例や選び方まで解説いたします。

温度データロガーとは

温度データロガーとは、環境中の温度を一定間隔で測定し、そのデータを自動的に記録する装置のことです。主に運輸業界で広く活用されており、商品や機材の品質管理、安全性確保に不可欠なツールとなっています。

温度データロガーの基本的な機能は以下の通りです。

  • 温度センサーによる測定
  • 測定データの記録と保存
  • データの表示や転送機能

温度データロガーは長期間にわたる温度変化を正確に追跡し、分析することができます。 温度計測のメリットは、以下の5点です。

  • 品質管理:食品や医薬品など、温度に敏感な商品の品質を保証できる
  • コンプライアンス:規制要件や業界基準への適合を証明できる
  • 効率化:自動記録により、手動での温度チェックの手間を削減できる
  • トラブルシューティング:問題発生時の原因特定と対策立案に活用できる
  • 顧客信頼:適切な温度管理の証明により、顧客満足度向上

温度データロガーを活用することで、運輸業の企業は、品質管理の向上、コスト削減、そして顧客満足度の向上を実現することができます。

特に運輸業界では、コールドチェーンの維持や輸送品質の保証において、温度データロガーが重要な役割を果たしています。たとえば、生鮮食品や医薬品の輸送では、シームレスな温度管理が求められています。

温度データロガーの用途例

温度データロガーは、さまざまな産業分野で幅広く活用されています。 ここでは、主な用途例を業界別に見ていきましょう。

ー物流・国際物流

運輸業界では、次のような用途で活用されています。

  • コールドチェーンの維持:冷凍・冷蔵食品、生鮮食品の品質管理
  • 輸送品質の保証:温度に敏感な商品の状態監視
  • トラブルシューティング:輸送中の温度変化の追跡と問題特定

―医療機関

医療機関では、次のような用途で活用されています。

  • 医薬品の保管管理:適切な温度での保管確認
  • 血液製剤の品質管理:輸送・保管時の温度監視
  • 手術室や病室の環境管理:患者の安全と快適性の確保

―食品

食品業界では、次のような用途で活用されています。

  • 製造プロセスの温度管理:食品安全性の確保
  • 保管庫の温度監視:食品の鮮度維持
  • HACCP対応:温度管理記録の自動化

―医薬・検体

医薬・検体分野では、次のような用途で活用されています。

  • 医薬品の製造・保管・輸送時の温度管理
  • 臨床試験における検体の品質保証
  • 研究用試薬の適切な温度管理

―美術館・博物館・図書館

美術館・博物館・図書館では、次のような用途で活用されています。

  • 展示品や収蔵品の保存環境の管理
  • 貴重な書籍や資料の劣化防止
  • 空調システムの効率的な運用

―研究機関・大学

研究機関・大学では、次のような用途で活用されています。

  • 実験環境の温度管理
  • 長期的な気象データの収集
  • 研究用サンプルの保存状態モニタリング

―農業

農業では、次のような用途で活用されています。

  • ハウス栽培の温度管理
  • 土壌温度のモニタリング
  • 収穫物の保管時の温度管理

―土木建築

土木建築では、次のような用途で活用されています。

  • コンクリート打設時の温度管理
  • 建物内の温度分布測定
  • 断熱性能の評価

温度データロガーを選定する際のポイント

温度データロガーを選定する際のポイントは、次の7点です。

ー測定範囲

測定範囲は、扱う商品や環境に適したものを選択することが重要です。
輸送する商品ごとの温度の目安は、次の通りです。

  • 冷凍食品輸送:‐40℃から0℃
  • 常温商品輸送:‐10℃から50℃
  • 高温環境:0℃から100℃以上

―記録間隔

記録間隔は、データの詳細さと記録容量のバランスを考慮して選びましょう。

  • 短い間隔(1分から5分):急激な温度変化の検出に適する
  • 長い間隔(15分から1時間):長期間の記録に適する

運輸業では、輸送時間や商品の特性に応じて適切な記録間隔を設定することが重要です。

―保存容量

保存容量は、長期輸送や頻繁なデータ回収が困難な場合に特に重要です。

  • 小容量(数千データポイント):短期輸送や頻繁なデータ回収が可能な場合
  • 大容量(数万?数十万データポイント):長期輸送や回収頻度が低い場合

ウォッチロガーのようなクラウド連携型の製品では、大容量のデータ保存と容易なデータアクセスが可能です。

―精度

温度測定の精度は、取り扱う商品の要求仕様に合わせて選択しましょう。
高精度の製品は、コストが高くなる傾向がありますが、品質管理が厳しい商品の輸送には不可欠です。

  • 低精度(±1℃程度):一般的な常温商品の輸送
  • 高精度(±0.5℃以下):医薬品や精密機器の輸送

―本体サイズ

使用するスペースに合った本体サイズの温度ロガーを選びましょう。
コンパクトで軽量な製品は、さまざまな場所への設置や輸送品への同梱が容易です。

  • 小型(名刺サイズ以下):商品パッケージ内への設置に適する
  • 大型:多機能や高精度を要する場合に選択

―操作性

使いやすさは、日常的に使用する運輸業界では特に重要です。
温度ロガーの操作性をチェックするポイントの例は、次の3点です。

  • ボタン操作:シンプルで直感的な操作が可能
  • タッチスクリーン:より詳細な設定や情報表示が可能
  • スマートフォン連携:リモート操作や即時データ確認が可能

ウォッチロガーのようなスマートフォン連携型の製品は、操作性と利便性が高く、業務効率の向上に貢献します。

―データ通信のタイプ

データ通信方式は、使用環境やデータ管理の要件に応じて選択しましょう。

  • USB接続:簡易的なデータ回収に適する
  • Bluetooth:近距離でのワイヤレスデータ転送が可能
  • Wi-Fi/セルラー通信:リアルタイムでのデータ転送と遠隔監視が可能

温度データロガーを使用する際の注意点

運輸・郵便業界で温度データロガーを効果的に活用するためには、適切な使用方法と管理が不可欠です。
以下に、温度データロガーを使用する際の重要な注意点をご紹介します。

ー適切な設置場所を選ぶ

温度データロガーの設置場所は、正確なデータ収集と商品の品質保証に直結します。
コンテナやトラック内の温度分布を考慮し、最も温度変化の影響を受けやすい場所を選定しましょう。

また、外部環境からの影響を最小限に抑えることも考える必要があります。たとえば、直射日光や空調の吹き出し口、壁面や床面との直接接触は避けてください。

大型コンテナや倉庫では、複数のロガーを使用して複数ポイントで測定を行う必要があります。この時、温度分布と局所的な温度変化を把握し、避けるべきです。

なお、ウォッチロガーのような小型で高性能な製品は、さまざまな場所に容易に設置でき、複数ポイントでの測定を効率的に行えます。

―適切なメンテナンスと定期的な校正を行う

温度データロガーの信頼性を維持するためには、適切なメンテナンスと定期的な校正が重要です。

定期的な点検やバッテリー残量の確認、外観の損傷チェック、センサーの清掃、校正の実施を意識しましょう。

なお、構成はメーカー推奨の頻度で実施します。通常は、1から2年ごとです。 校正証明書の保管と更新も忘れないようにしてください。

データを管理するソフトウェアの更新も重要です。
最新のファームウェアやアプリケーションを使用し、セキュリティパッチを適用しましょう。
ウォッチロガーのようなクラウド連携型の製品では、ソフトウェアの自動更新機能により、常に最新の状態を維持できます。

―データを効率的に取り扱う

収集したデータを効果的に活用するためには、適切なデータ管理と分析が必要です。

クラウドストレージを活用して定期的なデータのエクスポートと保存を行い、バックアップを取りましょう。

また、データ分析も重要です。分析によって異常の早期発見が可能です。
さらに、レポートを作成し、顧客への品質保証レポートとして提供したり、社内での情報共有と改善活動へ活用したりすると良いでしょう。

まとめ

温度データロガーは、輸送中の商品の品質管理や顧客満足度の向上に不可欠なツールとなっています。本記事では、運輸・郵便業界における温度データロガーの重要性と活用方法について解説しました。

温度データロガーの選定時は、測定範囲、記録間隔、保存容量、精度、本体サイズ、操作性、データ通信のタイプなど、業務に適した機能を持つ製品を選ぶことが重要です。

使用時は、適切な設置場所の選択、定期的なメンテナンスと校正、効率的なデータ管理が、正確な温度管理と品質保証につながります。

温度管理は、運輸業界において品質保証の要となる重要な要素です。適切な温度データロガーの選択と活用により、業務プロセスの改善、コスト削減、そして何より顧客満足度の向上を実現することができます。

今後も技術の進化により、より高機能で使いやすい温度データロガーが登場することが予想されます。常に最新の情報を収集し、自社の業務に最適な製品を選択・活用していくことが、業界内での競争力維持・向上につながるでしょう。

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