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医療・医薬・検体分野におけるデータロガーの重要性と効果的な導入

医療・医薬・検体分野におけるデータロガーの重要性と効果的な導入

医療の現場では、製品の安全性や品質管理において、正確な温度管理が欠かせない要素とされています。そのため、温度の変化を詳細に追跡し、記録するのに使用されるのが温度データロガーです。この測定器は、定期的に温度を自動計測、そのデータを保存し、自動レポート出力が可能です。医薬品や化学物質の製造や流通過程において、製品の品質管理に重要な役割を果たしています。本記事では、医療分野での温度データロガーの活用方法に焦点を当て、その重要性と使用方法について詳しく探求していきます。

目次

医療分野での温度データロガー活用法の重要性

―温度管理の必要性

医療の分野で、製品の温度管理は非常に重要であり、その理由は多くの医療用品が温度の影響を受けやすいためです。例えば、ワクチンや点眼薬は、一定の温度範囲を外れると有効成分が変質したり、失活したりする可能性があります。検体検査でも、検体の温度が基準範囲外だと、正確な検査結果が得られなくなる危険があります。

 このように温度管理が不十分だと、医療行為の質が大きく低下します。最悪の場合、患者さんの健康被害にもつながりかねません。そのため、製造工程から流通、医療機関への搬入、検査、さらに投薬や処置に至るまで、一貫した温度管理体制を徹底することが必要不可欠です。温度データロガーは、サプライチェーン全体で製品の温度変化を正確に記録・追跡できる測定器です。これにより、製品の品質と有効性を確実に保つことができます。つまり、医療の分野で温度データロガーを活用することは、医療の安全性と信頼性を守る上で極めて重要な意味を持っているのです。

―温度データロガーの役割

温度データロガーは、医療現場において極めて重要な役割を果たしています。その主な役割は、医療製品の品質と安全性を温度面で確保することにあります。

【ロガー使用例】
・製薬工場から病院までの製品の輸送経路全体で、温度データロガーを利用してリアルタイムで温度を監視・記録します。

【ロガーを使用する理由】
・製品が常に適切な温度範囲内に保たれていたかどうかをデータで裏付けることができます。

【対策案】
・万が一、製品の温度が基準範囲を超える事態があれば、温度データロガーはその異常を迅速に検知することが可能です。直ちに原因を特定し、温度が外れた製品を適切に排除したり、温度を正常化したりするなどの対応が出来ます。

温度データロガーは製品の温度異常を見逃すことなく監視し、医療現場に確実に品質が保証された製品だけが流通するよう、徹底的な管理に貢献しています。さらに、製品の温度履歴を記録・保存する機能も備わっています。医療機関に搬入された製品の過去の温度変動を遡って確認できるため、有効期限の厳密な算出や、二次的な温度被害リスクの予測などにも使えます。つまり、温度データロガーは製品の安全性と品質を科学的データに基づいて確認するために不可欠な存在なのです。

温度データロガーの概要

―基本的な機能

温度データロガーは、製品の温度を正確に記録・追跡する携帯型の測定器です。主な機能は以下の通りです。

1. 高精度温度センサー
温度データロガーには高精度の温度センサーが内蔵されています。医療製品の管理に求められる厳しい温度精度を確保できます。

2. 連続計測・自動記録
設定した計測間隔(例えば1分毎など)で、連続的に温度を自動計測します。計測したデータは内部メモリに自動記録されます。

3. マルチ計測チャンネル
1台で複数の温度プローブを装着できるマルチチャンネル対応機種があります(ロガーメーカーによる)1台で複数の温度計測ポイントを管理できます。

4. アラーム機能
設定した温度範囲から外れるとアラームが作動します。液晶や音で知らせてくれるので、異常を早期発見でき、迅速な対応が可能となります。

結果、温度データロガーは、医療分野での温度管理に重要な役割を果たしています。製品の品質と安全性を確実に保証するための高度な機能を備えています。

医療分野における温度データロガーの適用範囲

―医薬品の製造過程

原料段階では、有効成分や添加剤などの原材料の温度管理が極めて重要です。高温多湿な環境では、品質が損なわれる可能性があるためです。温度データロガーを使用して、保管庫の温度をモニタリングします。次に、製剤工程やプロセス管理においても、製剤助剤の溶解作用や反応効率は、温度によって大きく異なります。温度データロガーは医薬品の製造プロセス全体に深く関与しており、原料保管から製剤、保存・輸送に至るまで、一貫した温度トレーサビリティを確保する上で欠かせない要素です。

―化学物質の流通管理

温度データロガーは医療分野の化学物質流通において、製品の品質と安全性を保証し、規制遵守を実現する上で極めて重要な役割を担っています。

1. 医薬品の品質保証
多くの医薬品は温度に敏感で、適切な温度管理を怠ると品質が劣化する可能性があります。温度データロガーを使用することで、製造段階から病院や薬局への流通過程における温度履歴を詳細に記録・監視します。これにより、医薬品が常に適正温度下で取り扱われていたことを証明できます。

2. 生物学的製剤の安全管理
ワクチンやタンパク質医薬品など、生物学的に作られた製剤は温度にかなり敏感です。これらを低温に保つ必要があり、温度ロガーによる常時監視が不可欠となります。万が一温度外れがあれば、そのロット全体が使用不能になるリスクがあります。

3. 法令遵守
医薬品の適正流通を定めたGDP(Good Distribution Practice)規則などでは、温度記録の保管が義務付けられています。温度データロガーを使用すれば、規制当局への温度証跡の提示が可能になります。

4. 冷蔵・冷凍在庫の温度管理
病院や薬局では、多くの医薬品を冷蔵または冷凍保存する必要があります。温度ロガーを設置しておけば、庫内温度の変化を常時監視でき、異常に迅速に対処できます。

温度データロガーの正しい使用方法

―設置場所の選定

温度データロガーを適切に使用するには、適した設置場所を選択することが不可欠です。設置場所によって、正確な温度情報が得られなくなる可能性があるため、注意しましょう。

1. 測定対象物の近くに設置
ロガーは測定対象物(医薬品、検体、試薬など)の温度を代表する場所に設置します。対象物から離れすぎると、正確な温度を測定できません。(参考記事:「場所で温度が違う?温度分布から見るマッピングの重要性」)

2. 温度の均一性を考慮
冷蔵庫の中は温度が均一でない場合があります。ドア付近は温度が高くなりがちです。可能であれば複数箇所に設置し、温度分布を把握することが望ましいでしょう。

3. 外気の影響を避ける
外気や日光の影響を受けやすい場所は避けます。ドアの開閉の影響も少ない場所を選びましょう。

4. 振動や衝撃から保護

ロガーが振動や衝撃を受けると、センサーが損傷する恐れがあります。安定した場所を選びましょう。

5. 温度変化の大きい場所を考慮
製造工程の一部で急激な温度変化が想定される場合は、その付近に設置することで変化を捉えられます。

6. アクセスのしやすさ
定期的なデータ収集やロガーの交換をスムーズに行えるよう、アクセスのよい場所を選びましょう。

―データの取得と解釈

ロガーのデータを適切に取得し、温度の変化を常に監視・解釈することが重要です。異常に迅速に気づき対応することで、医療製品の品質を温度面から確保できます。

1. データのダウンロード
ロガーに記録された情報は、定期的に取り出すことが大切です。取り出すタイミングは、製品の重要性や温度変化のリスクに合わせて決めましょう。

2. データの確認
取り出したデータには、温度だけでなく、日時情報も含まれています。目で見たり、解析ソフトを使用して、温度の推移を確認します。目標とする温度範囲から外れていないかを細心の注意を払います。

3. 異常値の特定
温度グラフ上で異常な変化が見られた場合、その原因を突き止める必要があります。設備の故障や、ドアの長時間の開放などが考えられます。

4. 温度の逸脱時の対応
目標とする温度範囲から外れた場合、製品の利用可能性を判断しましょう。製品の性質や逸脱の度合いに応じて、廃棄するか継続利用するかを決定します。

5. 傾向分析
長期的なデータを分析することで、温度変化の傾向や季節変動を把握することができます。これは将来の温度管理の計画に役立ちます。

6. 監査への対応
医療分野では、温度の記録保存が法律で義務付けられています。データロガーの記録を監査で提出できるよう、適切に保存しておくことが重要です。

―メンテナンスの重要性

温度ロガーへの適切なメンテナンスを欠かすと、正確なデータが得られなくなり、医療製品の品質管理が十分にできなくなる危険があります。コスト面での無駄も発生します。メンテナンスへの意識を常に持つことが重要です。

1. バッテリー交換
ロガーは電池で動くので、定期的にバッテリーを交換する必要があります。電池の残量を常にチェックし、メーカーの指示に従って交換時期を守りましょう。また、電池は日本製の純正電池がおすすめです。安価な電池は電池容量がフルに入っていないことがあり得ます。バッテリー切れでデータが失われないように注意が必要です。

2. 校正
温度センサーは使っているうちに測定の誤差が増えていきます。メーカーが指定する周期で校正を行い、正確な測定を保つことが大切です。特に高い精度が求められる場合は、頻繁に校正を行いましょう。(参考記事:「データロガーの校正とは?その重要性と目的の詳細解説」)

3. ケーブル・アクセサリーの確認
ロガーとPCをつなぐケーブルやプローブなどの付属品が壊れていないか定期的にチェックします。もし故障している場合は交換が必要です。

4. 設置場所・取り付け方法の確認
温度ロガーの設置場所や取り付け方法を常に確認しましょう。設置場所が変わった場合は、適切に再設置する必要があります。振動や衝撃を受けていないかも定期的に点検します。

5. データバックアップ
温度記録は非常に重要なデータです。ロガーの故障やバッテリー切れに備えて、定期的にデータをPCにバックアップしておくと安心です。

6. 更新対応
新しいロガーモデルが発売された場合、メーカーの推奨に従って購入を検討することが賢明です。新モデルには上位互換で新しい機能やより高い精度が備わっている可能性があります。

医療現場での事例紹介

―具体的な事例

医療の現場では、多くの場面で温度データロガーが役立っています。手術室では無菌環境を保つために、室内に設置されたロガーが常に温湿度を監視し、適切な環境を維持しています。また、ワクチンなど低温での輸送が必要な医薬品の管理には、製造工場から医療機関まで一貫した温度管理を行い、規制当局へ温度記録を提供することが可能です。遺伝子検査室では、PCR用試薬の品質と検査結果の正確さを守るために、冷蔵庫内のロガーが適切な温度を監視しています。さらに臨床研究では、被験者の検体を長期間保存する超低温フリーザーに設置されたロガーが、連続的に温度をモニタリングし、大切な検体の品質を確保するのに役立っています。

 医薬品の化学的・物理的な品質維持と微生物の増殖抑制を両立できる最適な温度領域と考えられる「+2℃〜+8℃」の温度帯は、冷蔵庫・冷凍庫・保冷ボックスなどで医薬品の有効性、安全性、品質を長期にわたり確保することができます。その中でも、有効性と安全性を保つワクチン・タンパク質やペプチド、抗体などの生物学的製剤・注射剤・血液や尿などの検体を分析する試薬の検査用試薬が+2℃〜+8℃の温度範囲で保管されます。

また病院におけるISO15189取得やバイオバンクISO20387の運用もサポートします。

このように、温度データロガーは医療のあらゆる場所で重要な役割を果たしています。製品や検体の品質と安全性を守るためには欠かせない存在であり、正確な温度管理は医療の質を向上させるために重要な要素です。

まとめ

―医療分野での活用法のポイント

株式会社藤田電機製作所のWATCH LOGGER(ウォッチロガー)は医療分野に合わせて様々なロガーを選択できます。スタンダードモデルは「KT-155F」、「-40℃~+80℃」まで測定可能。IP67(水深1mに30分浸けても影響を受けない)の防水規格を取得しており、冷蔵・冷凍庫保管に最適です。



 

また、超低温環境の「-80℃」まで測定できる「KT-155F/EX」「KT-155F/EX(LED)」などもご用意しております。こちらの2機種は日本政府よりファイザーのコロナワクチン保管用ロガーとして採用されました。外付けセンサーがあるプローブタイプは、ロガー本体(液晶)を目に見える外側に設置し測定したい箇所にプローブを入れると良いでしょう。「KT-155FP」「KT-115LFP」はプローブで+120℃まで測定、また最高10mまで延長プローブ製作を承っておりますので、ご希望の際はお近くの販売代理店にご依頼・ご相談ください。

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